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ディンギーノッてる?(KAZI連載) 『海を越えて』 July,2005 text by Koji Ida
「かならず、ここに帰ってくる!」
大学一年の夏、そう決意した。
当時の僕は470のクルーをしていた。
同じヨット部の同期とコンビを組んで、ドイツで開催されるジュニア世界選手権に出場するチャンスを得た。
持つべきものは、優秀な相棒である。
青春まっさかり。ヨットレースは二の次で、海外旅行がしたかった。
生れて初めての海外旅行が、日本代表として遠征するヨットの世界選手権。「なかなか僕って、オシャレじゃん」と自己満足。
しかしながら、レースの結果はボロボロだった。
日本での負けレースでは「次に勝てばいいか」と開き直れるのだが、国際レースでは、そう簡単に次の機会は訪れない。
実力的には予想通りの結果なのだが、何故か非常にやるせない。
でも、その悔しい想い以上に貴重な体験をさせて頂いた。
初めての海外でのレースに、面食らったのである。
なんてオシャレで、なんて面白いんだろうと・・・。
ブロンドヘアの若者たちが、ウエットスーツに身を包んで、ヨットハーバーにたむろっている。
田舎者の僕は、そんな姿を見るだけで「オシャレだなぁ〜」と感心するのである。
表彰式で勝者が称えられる。 いやっ、表彰式ではなくて、表彰パーティーだ。
そこで表彰されている連中が、カッコ良くて仕方がない。
悔しさを通り越して、憧れである。
日本のディンギーレースでは、絶対にありえない風景。
それをみて、冒頭の決意をしたのである。
幾年かの時が経ち、そんな決意を殆ど忘れかけた頃、スナイプの世界選手権に出場する機会を得た。
若かりし日の決意を果たして、やっと戻ってきた世界の舞台のはずなのに、前回の反省むなしく、またも惨めな思いをする。
そこから、国際レースでの結果が僕の最大の目標となった。
レースに勝って、表彰台でガッツポーズ!
それだけがやりたくて、スナイプのレースでいろんな場所を周ってきた。
サンディエゴ、アルゼンチン、LAロングビーチ、スウェーデン、ブラジル。
年に一度ではあるが、一回の遠征で2〜3週間の休暇を取らなくてはならない。
よくぞサラリーマンの身分で、ここまでやってきたものだ、と自分で感心する。
でも、何故こんなに海外のレースに惹かれるのだろう。
その理由はおそらく、レースの勝者を称えることと、レース運営に尽力した人たちを称えること。
海外のレースでは、この二つがシンプルに、そして最大限に表現されている。
僕はそこに感激し、憧れている。
このことが日本でも出来るようになれば、勝ちたいと思う選手が増え、ボランディアでレース運営を手伝いたいと思う人たちも増えるのではないだろうか。
いまの日本の大会では、日程的にレースが終れば帰り支度に大忙しで、表彰式にも出席できないし、出席するほどの魅力も感じない。
申し訳ないが、僕の正直な感想だ。
僕が海外で体験できたことを、日本のすべての人に体験してもらうことは難しい。
だったら、国内で同じようなことが出来ないのだろうか。
一昔前よりも、結構多くの人が海外でのレースを経験しているはずである。
みんな、同じようなことを考えているのではないだろうか。
そろそろ変ってもいいはずだ、もう少しオシャレになってもいいはずだ、ってね。
日本のディンギーレースなんて、この十数年は大して変っていないのだから・・・。
勝者とボランティアの人たちを称えること。
そして、海外の真似だけではない、日本らしいレースが出来るようになれば、逆に世界中のヨット選手が憧れる国になるのではないだろうか。
「かならず、ここに帰ってくる!」
世界中の選手が、日本でのレースを体験して、そう思うようになってくれたら、最高に嬉しいだろう。 ■
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