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ディンギーノッてる?(KAZI連載) 『男女共同』 January,2006 text by Koji Ida
「女子部員なんか入れないでください」
大学4年の春、チームの主将を務めていた僕は、監督やOB会に強く主張したのを覚えている。
いまの時代にこんな発言をすれば、僕はセーリング界のフェミニストたちに、ぺちゃんこに踏み潰されるであろう。
だが当時、僕の所属するヨット部では女子部員はいなかったし、合宿生活の形態が女性に合わせたものではなかったので、新しいものを取り入れることに大きな抵抗があったのだ。
いまここにいる男子部員だけで、インカレ優勝を目指す戦力は十分にあったし、優勝を争うライバル校も女性選手はメンバーにいなかった。
あくまで目標はインカレ優勝であり、課題は如何に厳しい練習に取り組むかである。
女の子との楽しい合宿ライフが課題ではない。
厳しい競技スポーツの世界では女人禁制が当然。
そのときの僕は真剣にそう思っていたし、その考えを疑いすらしなかった。
大学を卒業して10年ちかく経過した頃、母校のコーチを勤めることになった。
しばらく振りに戻ってみた大学ヨット界は、僕が学生でいた頃とは打って変わって、女子部員だらけである。
僕が卒業した翌年に入部した女性選手は前回のオリンピック代表になっていたし、優勝を争う強豪チームのほとんどで女性選手がレギュラーとして活躍している。
週末の街中を歩き、オシャレに着飾って、流行のカフェでランチでも愉しみたいだろう女子大生たちが、汗くさい男子部員に混ざって、ドロドロになってヨット部生活に浸っている。
名前だけのヘッポコーチな僕は、過去の考えを改めるとともに、日本中の女性セーラーにお詫びしたい気持ちで一杯だ。
この場を借りて、ごめんなさい。
そんなことを反省しているときに、ふと思いついたことがある。
来年、国民体育大会のセーリング競技が僕の家から徒歩1分のヨットハーバーで開催される。
その関係で、市民ボランティアの説明会にいったとき、市の体育振興課のひとが「国体の目的はスポーツの普及です」みたいなことを言っていた。
ならば、ここまで大学ヨット界で女性選手が男性に混じって活躍しているのだから、国体のセーリング競技で『男女混合種目』を正式採用してはどうだろう。
男性と女性、どっちがスキッパーでも、どっちがクルーでもいい。
とにかく男女がひとつのペアを組んでレースする。
もしもそんなことが実現すれば・・・・・・、と想像するだけで楽しくなる。
そして楽しいだけでなく、とても競技性の高いレースになると思うのだ。
“男女平等”から、“男女共同”というセーリングスタイルへの発展。
この思い付きをヨット仲間の飲み会で打ち明けてみたら、「それいいよ!絶対にいいよ!でも同じことをビルダーのKくんも言っていたよ」。
やはり、みな同じように思っているのだ。
もしかしたら、セーリング協会の人たちも、考えてくれているのかもしれない。
すぐに実現はできないだろうが、ぜひ一度検討だけでもして欲しい。
もしも話が具体化するならば、艇種はスナイプとテーザーくらいでコンペになるのだろう。
どんな艇種が採用されるとしても、国体がより面白く、より「普及」を目指した競技会になるのではないだろうか。
そんなことを思いながら、女子大生のセーリングライフを観察している。
僕のような未熟な指導者では、教えるのではなく、教えてもらうことばかりだ。
尊敬すべき、偉大なる女性選手たち。
彼女たちの為にも、彼女たちの指導が必要な不甲斐ない男たちの為にも、ぜひ国体での男女共同種目を。 ■
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