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ディンギーノッてる?(KAZI連載)

『究極のディンギー』

June,2006

 text by Koji Ida

 

「超かっこいい! いちど乗ってみたーい!」

 

先月のKAZI誌で掲載された“ラッセルクーツ44”の記事を読んだ僕の感想である。

 

「一切の妥協をしない、ハイパフォーマンス・レーシングヨット」

 

と紹介された、このボート。

 

日本で実物にお目にかかれるかは分からないが、まさに“究極”だと思う。

 

なんてったって、見た目がすごく格好良くて、とっても速そうなんだもの。

 

乗り物に乗る僕らとしては、カッコイイものに乗りたくなるのは当然のこと。ぜひ一度乗ってみたいな〜と、お星様に願うのだ。

 

でも、キールボートではなく、ディンギーで「究極」を造るとしたら、どんなものになるだろう?と変なことが気になりだした。

 

という訳で、Mr.クーツのまねをして、僕ごときが究極ディンギーを考察してみたい。

 

 

 

ディンギーとして「究極」を名乗る以上は、多くの人に普及しなければならない、と勝手に決め付ける。

 

究極のキールボートは、所有者と乗り手を選ぶだろう。だがディンギーの場合の「究極」は、所有者と乗り手を選んではいけない。

 

“誰にも選ばれる”のが究極のディンギーだと思うのだ。

 

という訳で、数多く普及することを前提に僕が考える「究極」の条件は次のようになる。

 

 

(1) 速くてカッコイイ。

 

速いものを追求すれば、必然と格好よくなるはずである。49erを見れば一目瞭然。

 

(2) 操作がシンプルで容易なこと。

 

ディンギーを買う人は、乗れるから買うのであり、乗れないのに買う人はいない。

 

(3)カートップでの運搬が容易であること。

 

より広く普及する為には、レース活動が盛んにならなければならない。ヨットというのは、帆走るだけではナカナカ楽しめない乗り物だ。なぜなら、風が無い日もあるから。

 

だから、ある程度どんな風域でも楽しめる“レース” が必要であり、それに適したボートが求められる。レーザーやテーザーのように、カートップで移動出来る方が、レース活動は盛んになるだろう。マイラーセールの登場したテーザーなんかは、かっこ良さでも操作性でも、「究極」に近いのかもしれない。

 

(4)丈夫で長持ちすること。

 

オリンピック種目でもないのに、なぜか人気のあるのが僕もノッてるスナイプクラス。重くて遅いくせに、建造艇数とクラス協会会員数は、ツーマンディンギーとしてはトップクラス。その頑丈な構造とシンプルな操作性が人気の秘訣なのだろう。

 

(5)リグとセールをチェンジすることにより、一人乗り、二人乗り、トラピーズの有無、ジェネカーorウィスカー、などを使い分けができること。

 

レーザーは、スタンダード、ラジアル、4.7、とリグおよびセールのサイズを変えたシリーズを揃えることにより、爆発的な普及に成功している。同じボートで、それぞれのセーラーの趣向や体重にフィットさせることができれば、それこそ“究極”ではないだろうか。

 

(6)できるかぎり安い。

 

そりゃあ、高かったら誰も買えませんからね。

 

 

 

 

 

この数週間、通勤電車に揺られながら、ずっとこんなことを考えていた。

 

そんなふうに生まれたのが、いまイギリスで驚異的に売れているRSシリーズだろうし、国産のセーリングスピリッツなのだろう。

 

みんなが その時その時で、自分なりの「究極」を想うから、いろんな艇種がこの世に存在しているのだなぁ、と思えてくる。

 

そう考えると、僕はまだ“究極”を語るには青すぎる。新しい究極を生み出すまえに、まだ知らない魅力的なディンギーが沢山あることに気がついた。

 

みなさんは、何種類のディンギーに乗ったことがありますか。僕はせいぜい8艇種くらい。究極を考えるのなら、せめて20艇種くらいは乗ってみよう。

 

 

 

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