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ディンギーノッてる?(KAZI連載)
『ロングデザイン』 Dec,2006 text by Koji Ida
新年あけまして、おめでとうございます。
この原稿が掲載されるのは、新年の第一号かと思います。2007年につきましても、皆さんと熱く楽しくセーリングさせて頂きたいので、何卒よろしくお願い申し上げます。
本来なら、今年の抱負などを語らねばならないのですが、執筆しているのは12月のはじめ。2007年の展望というよりは、まだまだ過ぎる年の余韻に浸っている今日この頃です。
2006年、僕はスナイプ級とJ24クラスの全日本選手権に参加しました。自分のレース結果は棚の最上段にあげまして、両イベントとも開催地のホスピタリティーに溢れ、本当に良い大会だったと思います。
この2つの艇種は、国際的に普及する伝統的なワンデザインクラスです。しかしながら悪い表現をすると、古い設計の「オールドボート」と言えるでしょう。
最近、新しく市場に登場する競技用ヨットは、ハイパフォーマンスを強調したものばかりです。造船技術が進歩すれば、軽くて速いものが生み出されるのは当然のこと。
そんな時世なので「重くて鈍足なスナイプやJ24なんて、もう誰も乗らなくなるんじゃないの?」という話題が毎年のように出てきます。ですが全日本の会場へ行ってみると、そんな気配は微塵もありません。常連のベテランセーラーやニューフェイスの若い選手が集まって、盛大に開催されています。
オリンピック種目でもないし、国体種目でもない。なのに、なぜこんなに多くのセーラーが集まるのだろう?・・・と、自分が乗っていながら不思議です。
僕が思うに、その理由のひとつは、レース艇の寿命に関係しているのではないでしょうか。
スナイプもJ24も、その頑丈な構造により、軽量のボートと比べるとレース艇として使える期間がとても長い。適切な管理さえしていれば、少し船齢が古くても十分に新艇と戦うことができます。中古艇なら安く入手できるし、長く乗ることによって、その艇に愛着も生まれるでしょう。
いまさら僕が述べるまでもなく、セーリングはお金の掛かるスポーツ。艇やセールの購入や維持管理、ハーバーまでの交通費、レースイベントでの遠征費。企業や都道府県セーリング連盟などの援助がなければ、プライベートでの活動は庶民にとって容易ではありません。
せっかく苦労してボートを購入しても、すぐにパフォーマンスが落ちてしまったら、その次も購入資金を搾り出してまで続けていく気持ちになるかどうか。
近年、速さや軽さを追求したボートが登場しても、見た目は格好よくて流行りそうなのですが、日本ではそんなに普及が進んでいないように感じます。
ロングデザインなワンデザイン。
速いボートは魅力的ですが、競技者の多くが庶民である日本のディンギー界では、より長く乗れるデザインが求められているのではないでしょうか。
レース艇の寿命が長ければ、それによって選手寿命が縮められることはありません。セーリング競技は長くできるスポーツだから、その長さにあわせたボートのデザインが理想的だと思うのです。
いつまでも乗れるボートだからこそ、いつまでも乗り続けるセーラーたちが集まっている。そして、ワンデザインという同一規格で勝負する競技者たちは、共感できる価値観で繋がっている。そんな仲間たちと出会えるところが、実はイチバンの魅力なのでしょう。
2006年のシーズンを振り返り、そんなことをふと感じた今日この頃なのです。 ■
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