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ディンギーノッてる?(KAZI連載)

 

『スケジュール』

 April, 2008

 text by Koji Ida

 

 

 「今年は、いつから休むんだい?」

 

新しいシーズンを迎えると、職場で毎回訪ねられる質問である。

 

おもにスナイプ級で活動する僕は、全日本選手権に出場するときは一週間、国際大会の場合は二週間くらい、勤める会社を休まないといけない。

 

三十歳代半ばのサラリーマンがこんなに長期間も仕事を休むなんて、常識では、新婚旅行かインフルエンザに感染したときくらいしか有り得ない。

 

僕の場合、一度目の新婚旅行は六年前に終えてしまったし、いまのところ二度目の予定もない。それに僕は「ナントカは風邪ひかない」の「ナントカ」に該当するので、インフルエンザとも無縁である。

 

という訳で、常識的な理由以外で毎年のように長期休暇をとってしまう僕は、職場ではとても浮いた存在のようだ(ということに最近気づいた)。

 

僕が仕事を休んでいる間にフォローしてくれる同僚たちが、半分は応援してくれる気持ちで、半分はあきらめ顔で、冒頭のように訪ねてくれるのだ。

 

だから、そんなふうに聞かれたときのために、僕はしっかりと年間スケジュールをたてておかないといけない。あやふやな回答をしていたら、長期休暇なんて周囲に認めてもらえない。シーズン中にびっしりとトレーニングや遠征の日程が決まっているセーリングアスリートであるからこそ、その目的となる大きなイベントに出場するための長期休暇が許されるのだと、許してもらう条件を勝手に自分で決めている。

 

スケジュールを決めるといっても、考える項目は沢山ある。自分たちのセーリング技術を更に向上させるためのスケジュール。本番のレースで使用するマストやセールなどを選択し、同時にそれらのセッティングを決めていくためのスケジュール。遠征の宿泊先や移動方法などを決めるスケジュール。僕のように冬のオフの間に食べ過ぎて太ってしまったなら、目標体重に下げるまでダイエットするためのスケジュール。などなど、それ以外にも考えることは沢山ある。

 

そう思うと、スケジュールを決めるのは本当に大変な作業だ。学生時代は殆どオートマチックに合宿日程や出場するレースが決まっていたような気がするが、でも社会人になるとそうではない。自分たち以外に誰かがスケジュールを決めてくれる訳ではないし、セーリングに充てられる日数も限られている。仕事や家庭と両立しようと思うと、スケジュールなしでは日頃の多忙を理由に目標を見失って、シーズンを浪費してしまうだろう。

 

そういう訳で、僕にとってスケジュールを決めるということは、シーズン始めのイチバン重要な作業なのだ。

 

今シーズン、僕は11月にウルグアイで開催されるスナイプ級の西半球選手権のクオリファイを持っているので、これが今年の目標となる。地球の反対側でのレースなので、準備するのも大変だ。ボートを持っていくのか、現地でチャーターするのか、大会の何日前に到着するように出発するか、どこに宿泊するのか、荷物は何をどれだけ持っていくのか、それらのことをいつまでに決めるのか・・・。

 

ウルグアイ遠征だけでもこんなに沢山考えることがあるのに、実は同じ11月に全日本選手権も予定されている。このまま行くと今年のノーベンバーは、全日本で一週間休んで、ちょこっとだけ職場に顔を出して、また二週間ほどウルグアイに行ってしまう、という恐ろしいスケジュールになってしまう。

 

さすがにこれは怖くて言い出せないので、もう少し職場には黙っておこうと思っている。いつまでこのことを黙っておくか、スケジュールを考えないと。

 

 

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