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ディンギーノッてる?(KAZI連載)

 

『イッツ・へヴィー!』

 Jun, 2008

 text by Koji Ida

 

 

シーズンに入り、スナイプ級で活動する僕たちペアは、5月のゴールデンウィークで2つ目のオープンレースを消化した。

 

昨年までの3シーズンは、ふたりとも育児や仕事で忙しかったので、特に目標も設定せず、惰性でダラダラと活動していたのだが、今年はちょっと頑張ってみようと思い、各オープンレースも真剣に取り組んでいる。

 

久しぶりにボートもばっちり整備したし、練習やレースを重ねるごとに、徐々に昔の感覚が戻ってきていることも実感できる。

 

しかしながら、いかんせん肝心の結果がついてこない。

 

スタートやコース展開もまあまあ良い線いっているはずなのに、なぜか上位でマークを回航できない。たまに前のほうで回っても、ずるずると順位を落としてしまう。

 

なぜなんだろう?

どうしてなんだろう?

 

と、研究熱心な僕は、その理由を探求すべく、他のペアへの聞き取り調査を実施した。

 

その結果、恐るべき事実が発覚したのだ。

 

どうやら僕たちのペア体重は、出場チームの中で一番ヘビーウエイト。

 

よくよく考えてみると、二十歳代のベストパフォーマンスの頃に比べれば15kgくらい増えている。そのときでさえ、軽風域のレースでは苦戦していたのに、さらに増量すればフネがすべらないのも当然である。

 

そもそも、体重がボートスピードに大きく影響を与える競技種目なのだから、もっとディンギーレースにも体重を制限したり、体重でクラス分けしたりするルールが設定されてもいいはずだ。

 

でも、それはオデブの言い訳。

 

重くても通用する他の艇種へ鞍替えするか、その種目での適正体重を維持するしかない。

 

ペア体重増加の大半は、僕の体重増加分。しかも筋肉ではなく、メタボリックなお腹の増量分である。

 

ゆえに、責任を持って対処しなければならないとココロに誓うのだ。

 

 

 

しかしながら、これから最高のビールの季節が始まるというのに、減量宣言をしないといけないというのは、本当に悲しいことである。

 

いまの僕にとってのヨットレースとは、ある意味「ビールをもっと美味しく飲むために」やっている。

 

仕事が終わったあとのビールよりも、練習やレースの後のビールのほうが遥かに美味い。

 

「その目的さえ奪われてしまうなら、ヨットレースを続ける意味があるのだろうか?」

 

と、自分の中で天使と悪魔が戦っている。

 

 

 

FJ級に乗っていた高校時代の僕は、今より20kg以上軽かった。大学に入ってからも、どんなに太りたくても全然太れなかった。社会人になってからは、体重を増やすために会社での昼休みに、職場でプロテインミルクをつくって飲んでいたこともある。

 

当時の僕は「自分は肥満とは無縁」と信じて疑わなかった。いまの若いセーラーたちの大半も同じように思っているのではないだろうか。

 

でも、そんな君たちもいつか僕の気持ちが分かるときが来るのだ。オデブなオジサンたちを見て笑っていられるのも、いまのうちだけだぞ。

 

と、八つ当たりもしたところで、僕はちょうど三十五歳でメタボ検診が始まる。これを機会にダイエットに挑戦したい。

 

成功するのか、失敗するのか、いつまで続けられるのかさえ自信がないが、この誌面を借りて公表することにより退路を断ちたい。

 

まずは当分食べてはいけないメニューを連想してみる。

 

焼肉、とんかつ、豚の角煮、牛スジの煮込み・・・。

 

ダメだ、もうお腹が減ってきた。

 

 

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