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ディンギーノッてる?(KAZI連載)
『 根性論第一主義 』 July, 2009 text by Koji Ida
「お前は本気で勝ちたいのかよ」
大学ヨット部時代のミーティング。 コーチや先輩から、厳しい口調で、何度も問いただされたものだ。
僕の場合、小さい頃から返事だけは元気がいい。 だからいつも 「はい!本気デスッ!」 と調子良く答えていた。
でも今から思えば、それは真っ赤な嘘エイトハンドレッド。
鳥取の田舎から上京してきた僕にとっては、ヨットレースの勝ち負けなど興味無し。
そんなことよりも、京都でのキャンパスライフを楽しむほうが、とってもインポータントなのさ。(当時のコーチや先輩の皆さん、不真面目で誠にゴメンナサイ)。
先輩たちに怒られることなく、今日の練習が無事に終わりますように。 早く合宿が終わって、この刑務所のような合宿所から脱出できますように。
若かりし頃の僕は、そんなことばかり考えていた。
ただ、「本気デスッ!」 と返事していたのも、当時の本人としてはマンザラ嘘というわけでもない。
言うなれば、 「どっちかっつーと、本気」 みたいな感じなのだ。
でも、それからいろんなことを経験して、「あのとき返事していた“ホンキ”は、ぜんぜん本気じゃなかったんだなぁ」 と思えている。
もっと本気になった場面を、その後に何度も経験したから。
僕の勝手な持論として、ヨットレースでも、他の競技スポーツでも、選手の上達に差をつけるのは、生まれ持った才能とか、幼少期の競技経験などというものではなく、この「本気の度合い」だと考えている。
「本気」という言葉を辞書で引いてみると【冗談や遊びなどでない、本当の気持ち。真剣な気持ち。また、そのような気持ちであるさま。】とある。
そんな感情的な心理を度合いで測ることは難しい。それについて、他人から見て分かる基準などないし、自分自身でさえ分からないかもしれない。
ただ、ひとつあるとすれば、その 「本気」 という感情から来る 「行動」 なのだと思う。
だいたい体育会のヨット部員に 「お前は本気か?」 と質問するのがナンセンス。そんなもの、誰だって 「本気っす!」 と返事するに決まっているだろう。(当時のコーチや先輩の皆さん、またまたゴメンナサイ)。
言葉のやりとりだけでは、相手が本気かどうかなんて絶対に分からない。相手が本気になった行動をとっているか、それを見る。自分が本気になった行動を、相手に見せる。そういったことを繰り返しながら、お互いの本気を引き出していくしかないのだ。
インターネットの普及により、セーリング界でも情報入手の平等化が進んでいる。どのセールメーカーのチューニングガイドでも簡単にダウンロードできるし、国内や海外のトップ選手のテクニカルレポートも閲覧できる。翻訳サイトを使えば、辞書と長時間にらめっこする必要もない。オリンピックのメダルレースなど、トップ選手のセーリングもDVDや動画投稿サイトで見ることができる。
まずは本気になって、それらの情報を得ようと行動しているだろうか。
情報量が膨大で、どれが正しいのか判別しづらいこともあるだろう。それらの疑問をそのままにせず、セールメーカーや身近なトップ選手に確認し、正解を知るための行動をとっているだろうか。
気付いたこと、試したいことをしっかりと海の上で実行しているだろうか。
それをするとしないとでは、上達に大きな差が生まれてくる。巷にはいろんな技術論があるだろうが、その前提に必要なのは 「本気になって行動する」 という根性論なのだ。
という訳で、柄にもないことをグダグダと述べてみたが、これが上を目指している若い選手たちに、僕が一番伝えたいこと。
実は、最近の僕も 本気 になることを迫られている。
夕食で、ごはんのオカワリをお願いする僕に、そっと妻が問いただす。
「あなた、本気で痩せる気あるの?」 ■
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