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ディンギーノッてる?(KAZI連載)

 

『 乾杯宣言  』

 August, 2009

 text by Koji Ida

 

 

「今日はお疲れさまー、それじゃあ カンパーイ!」

 

練習やレースが終わった後、仲間たちと飲むビールは、格別である。

 

とくにこの季節、夏の暑さが厳しくなるほど、その一口目はたまらない。まさしく、その瞬間のためにセーリング競技を続けていると言っても、決して過言ではないだろう。僕と同じように感じている麦酒愛好セーラーは、かなり大勢いるはずだ。

 

 

僕がいまの会社のヨット部に入って、独身寮で暮らしていた頃。練習の後は必ずといっていいほど同じ寮生のヨット部員たちと居酒屋へ行き、その日の反省会をしたものだ。

 

寮の近くで、一番キンキンに冷えた生ビールを出してくれる店に陣取って、いろんな話題で盛り上がる。セーリングのことだけでなく、他の趣味や仕事について。夏のほろ酔い気分の僕たちに、話のネタが尽きることはない。

 

新しい生ビールが注がれるたびに乾杯を繰り返す。ひと夏で、いったい僕は何回「カンパーイ!」と叫んだことだろう。僕を含めたそのときの仲間たちは、みんな結婚して独身寮を出ていき、いまでは仕事と育児に追われている。

 

「あのときに帰りたい」と、センチメンタルに浸るほど今が辛いわけではないのだが、若いときにしかできない時間の過ごし方だったと思えている。

 

 

 

苦手な人には申し訳ないが、お酒というのは仲間意識を高めてくれる本当にいい薬だ。まだ家庭を持たない若いセーラーたちは、ぜひとも練習やレースの後には「カンパーイ!」で始まる反省会を習慣にして欲しい。(すでに家庭を持っているセーラーは程々が良いですよ)

 

ただ僕たちはアスリートである以上、お酒の量はコントロールしなければならない。二十歳台の頃はトレーニングジムに通う日は飲みの誘いを断っていたし、大切なレースの期間中はアルコール摂取を控えていた。飲むとしても、その日の疲れと次への緊張を和らげるために、夕食時にビール一杯程度。

 

大会が準備してくれるレセプションパーティーも、殆ど欠席していたように記憶している。出席すると皆にお酒を注がれるから。注がれたコップは飲み干さないといけない、と意識してしまうのが体育会出身者の悲しい習性。僕はNOと言えないジャパニーズなので、飲まずにいようと思えばパーティーに出席しないのが一番なのだ。

 

しかしながら競技を長く続けて年齢を重ねると、"その日の疲れ" は若いときよりも多大に蓄積され、経験による慣れが "次への緊張" というものを失くしてしまう。ゆえに “結果を出すための体調管理” よりも、疲れた自分へのご褒美と、久々に出会うライバルたちとの懇親のほうが大切に感じてしまうのだ。

 

最近の僕の場合、そういう言い訳で正当化して、レース期間中でもついつい飲み過ぎてしまう。だから結果が付いてこないのだが、お酒は好きだし、それはそれでいいのかな、と諦めている。

 

 

 

話しは戻って、乾杯で始まる反省会。

 

僕はお酒が入るとなぜか人間が大きくなってしまう。とくに負けレースの後はいつもより酔いが廻って尚更である。

 

「次ぎのレースは絶対に優勝するよ!」

 

そんな、素面のときにはできないような宣言を、酔ったときにはしちゃうのだ。

 

みんなの前でそんな大口を叩いてしまうから、帳尻を合わせるためにしっかりと練習しなければならない。お酒のチカラを借りて自分の目標を公開する。後戻りできない状況ができるから最後まで頑張れる。

 

すぐに諦める弱気な自分を、お酒が助けてくれたような気がします。

 

皆さんも、酔った勢いで仲間に目標を宣言してみませんか。後戻りできない熱い夏が続きます。

 

 

 

 

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