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ディンギーノッてる?(KAZI連載)
『 オトナも楽しむ 』 October, 2009 text by Koji Ida
数年前から、僕はスナイプ琵琶湖フリートのキャプテンを務めている。年齢の順番で廻ってきただけの役割であるが、なかなか大変な仕事なのだ。
毎年、会員登録の事務処理や会計作業、水域予選の段取りやレース公示および帆走指示書の作成などなど、やらなければいけないジョブが溢れている。
この原稿を書く少し前、琵琶湖スナイプ選手権を開催した。このレースは全日本選手権の予選となるため、フリートキャプテンの僕としては必ず成功させなければならない、責任重大なイベントだ。
どれだけ多くのチームがエントリーしてくれるか。ちゃんと風が吹いて公正なレースが出来るか。そんな不安の中、なんとか成功と呼べるものになってくれた。参加された選手と運営スタッフ皆さんのお陰です。本当にありがとうございました。
ただ僕が残念に思っているのは、この琵琶湖選手権が学生レースの延長線上みたいになっていること。参加選手の7割以上は大学の現役ヨット部員で、一般選手の参加はとても少ない。同時に開催した470級のレースも似たような感じだ。
これからインカレを目指す学生たちにとっては、いい練習の機会として参加する動機となるが、大学ヨット部を卒業したセーラーたちが「出場するぞー」と思えるイベントにはなっていないのだろう。
しかし、このままではいけないぞ。大学ヨット部員の減少が不安視される昨今、学連の若いOB&OGたちを惹きつけないと、この先も参加艇数はドンドン減っていくことになる。
「いったい、何をすればいいんだ!?」と、頭を抱え悩んだ僕。フリートキャプテンの責務として、一般選手の参加を増やすアクションを起こさなければならない。
という訳で、今回の琵琶湖スナイプ選手権、考え抜いた挙句、レース会場でホットドッグ店をオープンすることにした。
レースの後は、合宿所でミーティングという名のお説教。そんな学生レースと同じ雰囲気で、大学を卒業したオトナたちが参加したいと思うはずがない。
ディンギーにもアフターレースの楽しみが必要なのだよ!(と勝手にひらめいた)。レースが終わったら、選手たちがホットドッグを頬張りながら、ビールを片手に歓談する。それこそ大人が楽しむディンギーレースの風景に違いない。
そう思い立った僕は、大会の一ヶ月前から業務用食材を扱うスーパーを数件リサーチし、奥さんも巻き込んでメニューを考え、【SNIPE★DOG】と店の名前をつけて、自身のブログで誇大広告を展開。残り少ないお小遣いで食材を買い揃え、当日は朝5時起きで琵琶湖へ出発。ハーバーに着いたら大会受付の仕事と【SNIPE★DOG】の下ごしらえ。
本当に朝からバタバタだったのだが、ここで大きな無理が生じた。なんと自分も選手としてエントリーしていたのだ。
マスト立てとセールアップは相棒にお任せして、一番最後に慌てて出艇。レース中は【SNIPE★DOG】のことばかり気になって、まったく集中できない。そんな僕の不安を後押しするように、その日のレースが長引いて、着岸と同時に日没になってしまった。「こんな真っ暗、予想してないぞ!」と、ココロの中で叫びながら、慌てて【SNIPE★DOG】をオープン。
そんな焦りまくっている僕を不憫に思ってか、たくさんのセーラーがスナイプ・ドッグを食べに来てくれました。
みんな、本当にありがとう!
大成功とまでは行かないが、「やれば出来るじゃーん」と、自信を持つことができました。失敗しても、自分が恥をかく程度で済むのであれば、どんどんトライするべきだ。そんなふうに次回の【SNIPE★DOG】に向けて、決意を新たにする。
結局は、みんな(オトナ)を楽しませるという名目で、一番楽しんでいるのは僕(コドモ)なのです。 ■
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