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ディンギーノッてる?(KAZI連載)

 

『 秘密のダイアリー 』

 January, 2010

 text by Koji Ida

 

 

ょっと前まで、僕には競技日誌をつける習慣があった。自分のノートパソコンを持つようになってからなので、始めたのは彼これ13年前だ。

 

週末の練習の感想を、空いた時間にパソコンへ書き落としていく。とくに記載フォームや記録内容を決めていたわけではない。その日の使ったセールの種類やセッティング、どんな練習を誰とやったか。内容と結果はどうで、そのときに得た感覚や推論など、気付いたことをランダムに書いていた。

 

久々にその日誌を読み返してみると、記録されている内容が本当に細かく、自分のマニアックな性格が顕著に現れていた。

 

文章の殆どを占めるのは、練習やレース結果に対しての自分なりの考察である。クローズのボートスピードチェックで上り角度が足りなかったのは何故なのか。セールのチョイスか、セッティングか、それともハンドリングか。そのレースで順位が悪かったのは、スタートの出来なのか、ボートスピードなのか、コース選択なのか。一体どのタイミングでミスを犯し、それを回避する余地はなかったのか。一回分がとっても長いテキストとなっており、個々の要因をつぶしながら答えを求めようとしていることが文面を読んで伝わってくる。

 

なにぶん10年以上前の考察なので、いまの僕が読むと「当時の自分って、セーリングのことをぜんぜん解っていないじゃん」と、未熟さを感じる内容も多い。しかしながら、そうやって週末の練習を振り返って日誌に記し、次の練習前に読み直す。この作業の継続によって、セーリングの理解力が深まったと自負している。

 

高校・大学のヨット部の頃、僕はまともにノートなんて書いたことがなかった。学校の授業なんて尚更である。字がヘタクソだから、ノートを書いたところで汚すぎて読み返す気にならないのだ。

 

そんな僕のようなズボラな人間が競技日誌をつけ、それを続けられるなんて。パーソナル・コンピューターを開発し、世の中に普及させてくれた人たちに感謝しなくてはならない。こうやって鉛筆なしでこの原稿を書けるのも、そのお陰だ。まったくPCサマサマなのである。手書きだったら絶対むーりー。

 

じゃあ、そんなに立派な競技日誌だったら、後輩にでも読ませて勉強させたらいい、と考える人もいるだろう。しかし、それは絶対にできない。記録されている内容が本当に細かく、自分のマニアックな性格が顕著に現れているから。

 

「○○選手はやっぱりムカつく。次は絶対にやっつけて泣かしてやる」、「××選手はヨットのこと解っていないので、もう質問するのはやめよう」、「△△選手は失恋直後だから、落ち込んでいてスタートは攻められないはず」などなど。

 

絶対に公表できない内容が実名入りで散りばめられているのだ。当時の僕は、日誌に書くことで海上のストレスを発散していたみたいです。

 

だから絶対に他人には見せられない。まあ日記なんて人に読ませるものではありません。あなたも(自分の為だけの)、秘密の競技日誌を始めてみませんか。

 

 

 

 

 

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