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ディンギーノッてる?(KAZI連載)

 

『 セーリング競技とヨットレース 』( 後編 )

 June, 2010

 text by Koji Ida

 

 

 同じ時期に開催されたバンクーバー五輪とアメリカズ・カップを見比べて感じたこと。前号からの続きです。

 

ーリングというスポーツも、いまのところオリンピックの競技種目として採用されています。この「競技」としてのセーリングに、道具の進歩は必要なのでしょうか。

 

より速く、より乗りやすくするために、ボートビルダーやセールメーカーが開発競争を繰り広げているワンデザインクラスもあります。僕が主に活動しているスナイプクラスもその一つでしょう。

 

それらサプライヤーたちの開発競争は、マーケットでのシェアを確保するための健全な経済活動です。否定する気はまったくありません。ただ、より速い道具を手に入れるため、選手たちは多くの道具を買い揃え、比較選択しなければなりません。そんな経済的負担が選手たちを圧迫し、競技を続けにくくしているのも事実です。

 

オリンピックやユース選手権、国内での国民体育大会やインカレや高校総体。それら競技セーリングで採用される艇種は、今後もいろいろな変化を続けていくことだと思います。クラスルール変更、サプライヤーの開発、採用艇種の変更などなど。

 

ただ、これらのイベントの目的は、セールボートの進化ではありません。競技者の技量を競うことです。

 

ですから、ここで採用されるべき艇種は、道具の差が出来る限り少ないもの。とくに五輪という競技スポーツの最高峰での種目は、ワンデザインを超えた、ワンメイクのボートが相応しいと思うのです。開発や進化は、ボートやセールの性能差をなくしてコストを抑える製作工程だったり、選手の安全性を高めるものだったり、そういった方向に限定されなければなりません。

 

そっちの方が速いから。そんな理由でどんどん道具を変えていいのなら、マラソン選手も自転車に乗っちゃいますよ(それはない)。スキージャンプの板の長さのルール改正や、競泳の水着規制など、他の競技種目でも選手の活動に劇的な影響を与えるルール変更がありました。

 

それらは「選手の条件を平等にし、競技の公平性を高めるため」という名目での変化であり、道具だけでの成績向上を抑制するものであったと思います。競技セーリングも、今後の変化や進化は、そうあるべきではないでしょうか。そういった道筋を決めていかれるのは、何処のドナタなのでしょう。もしかしたら、セーリング競技の将来を憂うアナタかもしれません。何卒よろしくお願い申し上げます。

 

 

という訳で、まだまだ「やっぱり僕が思う理想の五輪採用種目は・・・」なんてことも書きたいのですが、長くなるので辞めておきます。

 

兎にも角にもアメリカズ・カップ。やはり最高峰のヨットレースなんですから、バンクーバー五輪と同じくらい、世界中の人たちにリスペクトされる大会であって欲しかった。あんな高速ボートだったら、乗り手にはとてつもなく高い技術が要求されると思うのですが、僕ごときが観てても全然理解が出来ません。やはり、もっと接近して競り合って、見せ場を作ってくれないと。

 

今回のアメリカズ・カップを観て、逆にセーリング競技とヨットレースで必要なものが浮き彫りとなったように感じます。あんなに大金をはたいて、こんな大切なことを教えてくれた大富豪のおふたり、本当に有難うございました。もう僕たちは十分勉強になりましたので、次に大金を使われるときは、究極のヨットづくりではなく、被災地や恵まれない子供たちのために寄付してあげてください。セールボートの進化は、その次でも結構ですから。 

 

 

 

 

 

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