BACK NUMBER  esseys of sailing and life.

 Back to index

ディンギーノッてる?(KAZI連載)

 

・五輪改革案』(後編)

 April, 2011

 text by Koji Ida

 

 

(前号からの続きです) 

 

ーリングに限らず、皆さんの感じるオリンピックの魅力って、どんなところですか?

 

息を呑むような緊張の瞬間。

逆転の連続や、あっと驚く試合展開。

選手たちの苦痛と歓喜の表情。

 

僕の場合、あくまでもテレビ観戦者という立場ですが、こんな感じです。このような魅力を、セーリング競技の中にどれだけ取り込んで、どのように伝えるか。フネの派手さだけに視点がいかず、アスリートの動きや表情がしっかりと映し出される艇種。シンプルで、安価で、選手の技量のみが結果に反映される艇種。そんなフネを採用すべきです。

 

極端な意見ですが、ヨット種目はレーザー級だけでいいんじゃないですか。ウィンドサーフィンのことはよく分からないのですが、いま採用されているRS-Xもかなり高額みたいなので、再考が必要かもしれません。

 

馬術は、馬をロバやポニーに変更できませんが、セーリングは安い道具に変える余地が残っています。

 

ハルをレーザー級のみにして、体重のハンデキャップをなくすために、リグの大きさでクラス分けするか、乗員の体重別クラスを設定する。勝手に決めますが、二人乗りも三人乗りも要りません。スピンもトラピーズも要りません。

 

いまのレーザー級で、十分に体力・知力・技術を競い合う競技スポーツになり得ているから。道具に装備を追加したり、人と違う道具を開発して、テクノロジーを競う必要はありません。選手たちがしっかりとハイクアウトで身を乗り出して、テレビ解説者が「この姿勢を長時間維持するのがとっても辛いんですよ!」「この辛いハイクアウトをしながら、風や潮流の変化やライバル艇の動きを見て、正しい判断をしなければいけないところに、この競技の難しさがあるんです!」なんてコメント入れながら中継してもらう。まさか、競技スポーツの最高峰を目指すアスリートに「ハイクは辛いから嫌です」なんて言う弱虫はいないはず。

 

そして、艇種をレーザーに限定する代わり、競技種目を増やしていく。現状のフリートレースだけでなく、レーザーを使って、マッチレースやチームレース、スノーボードクロスみたいなトーナメント形式のスラロームなど。当然ながら、「いい風が吹く」というのが前提条件になるのですが、それはいままでも同じこと。国対抗で、レーザーで33のチームレースなんかしたら、盛り上がると思うんです。カーリングみたいに、観ている側が手に汗握る、逆転につぐ逆転があったりして。

 

普通のフリートレースでは体格差で日本人が不利だとしても、タクティクスを駆使するマッチやチームレースではチャンスがあると思いますし、スラロームは風のコンディションによっては、身体が小さい方が有利になるかもしれません。ひとりの選手が複数の種目でメダルを取って、話題になることもあるでしょう。

 

という訳で、4年前の「五輪改革論」と読み比べると、今回の提案はまったく異なった内容になりました。あまりの劇的なココロ変わりに自分でもびっくりです。

 

僕もこの4年間で、“現役ギリギリの熟練セーラー”から“どっぷり中年のサンデーセーラー”へと大きく成長したからですね。でも、やはり五輪セーリングはこのままじゃあ、ちょっとね。

 

この最高峰の祭典を目指し、いろんなものを犠牲にして活動を続ける選手たち。彼らは、我が国のトップに位置する、僕たちの代表です。そんな選手たちが、払った犠牲と掴んだ結果に見合ったものが得られるように。そのために、今のままじゃいけないと思うんです。

 

とりあえず、変わらなきゃ。

馬術よりも先に。

 

 

 

 

 

 

 

 Back to index

 

 esseys of sailing and life.  BACK NUMBER