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ディンギーノッてる?(KAZI連載)

 

気に入りの曲を聴きながら 』

 July, 2011

 text by Koji Ida

 

 

持ちよく晴れた週末の朝。ヨットハーバーへ向かう車の中で、お気に入りの曲を聴きながら。僕の大好きな時間のひとつである。

 

とくに音楽に詳しいわけではありません。

学生時代、合宿のオフの日にCDショップで洋楽を試聴しつつ、僕ってこんなサウンドが好きなんだよね・・・みたいな意味のないアピールをまき散らし、結局は聴いても良し悪しが分からないので、ヒットチャートの上から順に新作を購入する。そして家で2〜3回聴いて、おしまい。そんな愚行により蓄積されたCDたちは、昨年近所のヨットハーバーの公園で、フリーマーケットに出されて¥1001枚で売られてしまいました。案外買ってもらえたので嬉しかった。

 

最近のお気に入りは、何年か前のブラジル遠征でジャケ買いしたボサノバのCD。ラテンな気分のBGMを流しながら、週末の朝をドライブする。「なんてオシャレなんだ、僕」と自己陶酔にひたりつつ、ポルトガル語の歌詞にあわせて口ずさむ。当然ながら、ポルトガル語は分かりません。

 

そういえば、高校でヨットをはじめたとき、先輩たちに「ヨットはリズム感が大切だ。波や風のリズムにあわせて、バランスを取るんだ!」と教えられたのを思い出す。風が強くて練習が辛いときは「おい!しんどさを吹き飛ばすために、なにか歌え!」と命令されて、トラピーズにぶら下がりながら大声で歌いました。曲は当然、僕らの青春ブルーハーツだ。でもこの選曲だと、縦ゆればかりで横バランスは取りづらい。

 

レースであちこち遠征するときは、引率のコーチや先生の車に乗せていただく。そのとき流れる曲は、なぜかいつも山口百恵ベストだった。いまでも夜に高速道路を走ると、百恵ちゃんを口ずさんでしまう僕がいる。

 

大学ヨット部のコーチをしていたとき、江ノ島遠征を控えたある選手が、「江ノ島の海で上手く帆走らせるコツを教えてもらえないでしょうか?」と質問してきた。日頃、琵琶湖のフラットウォーターで練習する学生たちは、海でのレースにとっても不安を感じるようだ。

 

僕は、その緊張をほぐしてあげようと「江ノ島の海は、TUBEじゃなくて、サザンなんだよね、分かるか?」と答えてあげました。

 

2週間後、江ノ島から帰ってきた選手が「なんとなく、コーチの言っていたことが分かった気がします、海でのコツが掴めました」と報告してくれた。

 

えっ、なにが分かったのだい? 

湘南にはやっぱりサザンが合うよね、という僕の趣味を話しただけなのに。

でもそのときは、驚きの表情を隠して、「そうか、ひとつ成長したな」と答えましたけどね。

いまさらですが、どうかその海での帆走らせ方のコツを教えてくださいな。なにとぞよろしくお願いします。

 

ヨット仲間でカラオケに行くと、かならず誰かが加山雄三の「海」&「光進丸」を歌いだす。決まって皆で大合唱。でも、ロッド・シュチュワートの「sailing」は誰も歌いません。なぜだろう。ちなみに僕の卒業した大学ヨット部では、1年生のときに「琵琶湖周航の歌」を覚えないといけません。歌詞を間違えると、先輩にびっくりするくらい怒られた。

 

という訳で、ヨットと共に音楽がある。地域や時代での違いはあるだろうが、きっとみんなセーリングの記憶と音楽がリンクしているはずなのだ。だからもう一度、昔のCDをひっぱり出して、あの頃の曲を聴いてみませんか。奥さんにフリーマーケットで売られる前に。

 

 

 

 

 

 

 

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