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アラフォー帆走生活(KAZI連載)
『 スピーチ』 February, 2011 text by Koji Ida
ちょっと前の話になるのですが、大学ヨット部の同期生の結婚披露宴に招かれました。
枯れ葉の舞い散る、土砂降りの秋の京都。 そんな寒々した悪天候なんて、幸せな御ふたりには関係ナッシング。
新婦さまは14歳年下なんですって。 とってもカワイイし。若いし。うらやましいなあ・・・。
えっへん、これ以上書くと、うちの奥さんが怒るので、ここまでにしときます。
で、新郎さんは現在、外資系証券会社のエリートビジネスマン(本人曰く)。ヨット部の一年坊主のときは、シャックル回すのもヘタクソだったのに。人間って、成長するんですね。 ご結婚、本当におめでとうございます。
という訳で、その新郎さんの会社上司の方が、乾杯のスピーチです。外資系のボスなのに、「結婚生活に大切な袋の話」という古典落語のようなテーマでした。外資系でもココロはジャパニーズなのですね。カンパーイ。
今回は違いましたが、ヨット関係者の披露宴だと、夫婦生活を「船出」とか「航海」みたいなことに例えてスピーチされる人が多いと感じます。これってどうなのでしょう。
ヨットを知らない人ならいいんですが、なまじっか知っていると、リアルに想像してしまいます。
マストを越える高波。 フネをなぎ倒す強風。 かと思えば、干上がるような灼熱の凪。
結婚生活って、そんなに厳しくて辛いものでしたっけ。
現在進行中のボルボ・オーシャン・レースも、巨額を投じ、万全の準備を整えて出航したはずなのに、第1レグの完走率は50%でした。
ならば、とくに具体的プランもなく、「一緒にいれば何でも乗り越えられるさ!」と軽はずみに航海へ旅立つ新郎新婦は、一体どれくらいの確率で完走できるのか。
まあ、僕のイメージでは、7割は撃沈ですな。
そう考えると、やっぱりヨット系の例え話はダメですね。 するにしても、危険の少ないインショアのブイ廻りレースにしておきましょう。
たとえば、「結婚生活はスタートと同じ。リスクのある有利エンドは狙わずに、空いているところから第一線で・・・」とか。 「喧嘩したあとはタッキング直後と一緒で、すぐに上らずに、しっかりスピードをつけてから・・・」とか。
うーん。全然いい話になりませんね。 残念ながら、披露宴でのヨット例え話は、きっぱりあきらめてください。
それにしても、スピーチというのは、なんと人を悩ますものなのでしょうか。 オファーされた側は、たまったものじゃありません。 笑いをとらなきゃいけないし、しかしながら、フザけすぎても怒られるし。
一体、なにを喋ればいいんだい。 とくに内気でシャイで引っ込み思案な僕には、どうしても避けたい苦痛の役目なのです。 絶対にすべるし。 あーイヤだ、イヤだ。
ところで、結婚披露宴とはまったく関係ありませんが、ヨットの国際大会なんかでは、優勝者は表彰パーティーでスピーチを要求されます。階層社会のガイコクジンは、そんなセレモニーが大好きですから。
海外遠征のときはいつも、行きの飛行機の中で、「もしも優勝しちゃったら、どんなスピーチをすればいいんだ!?」と、何時間も悩んでしまう僕なのでした。 成績うんぬんの前に、ぜんぜん英語しゃべれないんですけどね。ああ、僕って幸せ者。
話はもとに戻って、新郎さんから二次会の乾杯スピーチを頼まれちゃいました。 もー、困るんですよね、本当に。 キミは、僕がしゃべるの苦手で、昔からよくすべっていることを知っているじゃないか。
えっ? それで、どんなことを話したのかって?
まあまあ、それは聞かぬが花というもの。 とにかく今後、僕にスピーチを依頼される人は、近くにすぐ入れる穴を準備しておいてください。 どうか、よろしくお願いいたします。 ■
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