BACK NUMBER  esseys of sailing and life.

 Back to index

アラフォー帆走生活(KAZI連載)

 

休の過ごし方 』

 June, 2012

 text by Koji Ida

 

 

の花びらが散って春の余韻もなくなり、朝の空気に初夏の訪れを感じる今日この頃。行楽にも、セーリングにも、最高のシーズンだ。いま、この原稿を書いているのはゴールデンウィークのど真ん中。日本中が行楽ムードにすっぽりと包まれているとき、僕はノートパソコンと向かい合い、KAZI誌の締め切りにねっちりと追われているのです。「せっかくの連休ですし、締め切りを一週間ほど延ばしますから、ゆっくりと休んでくださいよ」とは言ってくれないのですね、編集長。

 

そんな戯言は置いといて。

 

この歳になりますと、いくら連休と言っても、仕事が入ったり、家の用事があったりで、ずっと休めるわけでもありません。子供たちの学校もありますし。なかなか、家族揃って「どこか遠くの観光地で、ココロを癒すためにロングステイ」なんて旅行はできないのです。お金も無いし。

 

という訳で、連休を自宅の近場で過ごす僕にとって、もっとも重要なことは、「如何に自分のセーリング時間を確保できるか」。世間には、休みの日はずっとヨット三昧、という羨ましいお父さんもおられるのでしょうが、非亭主関白の我が家にとって、それはドリーミングな夢のまた夢。自由時間とは、家族サービスを十分に行った上で頂戴できるご褒美。ファミリーへの奉仕なくしては与えられないものなのです。

 

「今日と明日は家族サービスしますから、明後日はヨットに乗らせてくださいな」といった感じで、奥さんと交渉いたします。ただ、この日程の誘導がディフィカルト。だって、僕の自由にできる日は、風が吹かなければ意味がない。奥さんも子供たちも、「ここへ遊びに行きたーい」という場所があるので、そこが屋外であれば、晴れた日でないと意味がない。なので、インターネットで週間天気と風予報を睨み続けながら、お互いの利益が合致するスケジュールを考えなければいけません。

 

まずは家族の要望が最優先です。温泉に行きたい。室内プールに行きたい。バーベキューがしたい。ショッピングに行きたい。そうですか、そうですか。行きましょう、行きましょう。そのかわり、この日はヨットに乗らせてね。僕が自分のセーリング・デイに設定したのは、子供たちが学校や幼稚園で不在の日。あいにくの曇り空だけど、ベランダ越しに見える海面には、予報どおりに朝からいい風が吹いている。やっほー、やっと僕のGWだ。ウエットスーツをリュックに詰め込んで、それでは行ってきまーす。

 

「ちょっと待って。今日、ベランダの掃除をしたいんだけど」と奥さん。えっ、それは自分でやってくださいよ。今日は僕の自由にさせてもらいます。勇気を振り絞ってキッパリと断り、玄関を飛び出すのです。ハーバーへ向かって自転車をコキコキ。ふと「僕らサラリーマンは大型連休だけど、ハーバーで働く人は休みがなくて大変ですね」なんて心配しちゃいます。そして僕の愛艇、推定船齢30年超のレーザーを置いているハーバーに到着。あれれっ、ゲートが閉まってる。誰もいない。そうですか、今日だったのですね、ヨットハーバーのお休みは。

 

慌てて自転車に跨り、Uターンで猛ダッシュ。汗だくで家に戻って、奥さんに平謝り。「ベランダ掃除は僕がしますから、もう一度、もう一度だけチャンスを・・・」。

 

 

 

 

 Back to index

 

 esseys of sailing and life.  BACK NUMBER