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アラフォー帆走生活(KAZI連載)
『 シャワータイム』 February, 2013 text by Koji Ida
昨年の12月、僕は40回目のバースデーを迎えました。 アラフォーではなくて、正真正銘のジャスト・フォーティ。 これから1年間、この連載は「ジャスフォー帆走生活」というタイトルになりますので、そこのところ宜しくお願いいたします。
なんちゃって。
でも、なんだか実感が湧きません。 だって、いま現在の僕自身の行動、言動、責任感の無さ、無計画な将来設計。どれを取っても、40歳とは思えません。
まあ、セーラーとはそういう種族なのですね。 何十歳になっても、ケセラセラ。 明日にはトゥモローの風が吹くんですから。
すべての失敗を不規則なウィンドパターンのせいにして、現実逃避できちゃいます。
ああ、ヨットやってて本当に良かった。
というわけで、その記念すべき誕生日。 平日の火曜日だったのですが、会社をお休みさせていただきまして、自宅の最寄ハーバーに置いているレーザー級でセーリングを楽しみました。
やっぱり、人生の中でそれなりの節目の一日なので、自分の一番やりたいことをして過ごしたい。そんな僕の気持ちを神様が察してくださったのか。朝からプレーニングに持って来いの、とてもいい西風をプレゼントしてくれました。
イヤッホー。 波の上をリーチングでかっ飛んで、頭からザブザブ被るスプレーが最高に気持ちいい。
ただ、それも最初だけ。やっぱり季節は年の瀬です。 水温は冷え切り、一時間も帆走ると顔も手も寒さで固まって、体力が尽きて動けなくなったら、もう苦痛でしかありません。
陸に上がり、ぶるぶる震える身体を我慢して、冷水でフネを洗って後片付け。セーリングって、40歳という年齢に適した趣味なんだろうか・・・。そんな疑問がふと頭をよぎるのですが、その思考も強制的に遮断されるほど寒い。寒い寒い寒い。
やっとの思いでフネを片付け終わって、急ぎ足でシャワー室へ。
蛇口をひねって、ウエットスーツの上から一気に温水を浴びせます。手の指の感覚がなくなって、もうシャワーのお湯が熱いのかどうかさえ分からない。
でも徐々に、じわぁぁぁと感覚が戻ってきて、血液がじんじん流れていくのが伝わってくる。
その幸福感が温もりとともに降り注いでくる瞬間がたまらない。この気持ち、分かってくれる人は沢山いるはず。きっとアナタもそのひとりじゃありませんか。
高校や大学のヨット部時代でも、冬や春先の練習での寒さは、決して忘れることはありません。
寒いだけでなく、シートワークで手のひらの皮が何箇所も破けて、頭を洗うにしても痛くて指が伸ばせない。さらにシャンプーが傷に沁みて激痛が走り、拷問をうけているようなシャワータイム。
でも、そんな寒さや苦痛も、仲間と一緒に「うぎゃー!痛いー!ちくしょー!」とぎゃあぎゃあ騒いだり、「オレのほうが皮の破れている数が多いぞ」などと変な自慢をし合ったりして、笑いに換えて乗り越える。
それがあるから、翌日も同じ寒さの中に立ち向かっていけたんですね。いまから思えば、寒い時期の練習は、帆走スキルを身につけるよりも、この過酷な環境を仲間と共有することに意味があったような気がします。
というわけで、僕は40歳になった今年も冬の海へ出てしまう。 きっと今週末も、あの頃と同じように、素敵な寒さが待っているから。 ■
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