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アラフォー帆走生活(KAZI連載)

 

日セーリング 

 October, 2013

 text by Koji Ida

 

 月のとある週末。

 

うちの娘がリビングのテーブルに絵本を広げて、読書感想文に取り組んでいる。夏休みの宿題らしい。

 

いいなぁ。

小学2年だと、感想文は3行だけ書けばいいんですね。

僕なんか、毎月毎月ヨットの感想文を1500文字(このページ)も書かなければいけないのに。

 

そんな愚痴を呟きながら、原稿の締め切りと戦うのだ。

 

 

暑い日々が続いていますが、お昼前には南から心地いいシーブリーズが吹きこんでくる。我が家のベランダ越しに見える海には、練習に励む大学ヨット部のディンギーが、風と太陽の光を受け止めて、白くキラキラと輝いている。

 

でも僕は、今週末も海に出ることができない。ここのところ、毎週のように土日に用事が入ってしまうのだ。そして、ヨットに乗れない僕のココロは、カラッカラに渇いてしまった。

 

 

まあ最近は、そういう年頃なのだと諦めている。家族というシガラミを持ち、子供たちが成長すると、それに伴なう行事やイベントなど、地域や学校とのつながりを無視することは出来ない。

 

運動会、授業参観、夏祭り。初夏から秋にかけて、セーリングに適した季節というのは、それ以外の行楽にとっても相応しいシーズン。生活の中で趣味の優先順位をどこに置くかは人それぞれだが、いまの僕の場合、週末はセーリング以外のことが優先される。それはそれで、仕方のないことなのだ。

 

でも、このままではいけない。だって僕は、アイ・アム・セーラー。海に出ることを諦めてしまったら、ただのプクプク太ったお父さんになってしまう。というわけで、いろいろ考えた挙句、改善策を見つけました。それが、「平日セーリング」。平日に会社を休んでヨットに乗るのだ。

 

いまの仕事は土日の週休二日制なのだが、それなりに有給休暇もいただける。娘たちが小さい頃は、急な発病のときの為にその休みを取らずにいたが、すくすく元気に育ってくれたお陰で、最近ではそんな心配も要らなくなった。だったら、自分のために休んだら良いのではないか。

 

ということで、ただ単にヨットに乗るためだけに、平日を休むことにしたのです。奥さんの白い目も無視して。

 

休む日を決定するのは、その前日。まず「今週のどこかで休むぞー」と決意したら、月曜日から毎日インターネットの天気予報サイトをこまめにチェックし、風が一番吹きそうな日を予想する。そして、その日にちゃんと休めるように、アポや約束を入れない。でも、結局は風が吹きそうになかったら、休むのを止めて次のチャンスを待つ。だから、休む前日までは、職場の上司にも同僚にも、そして家族にも教えない。だって、風次第なんだもの。

 

 

休みをとった平日の朝。期待通りの風が吹いている。ウエットスーツをバッグに詰めて、自転車でハーバーへ。なんだか、街から流れてくる色んな音が、いつもとは違って聴こえてくる。

 

多くの人が通勤の電車に揺られているとき、僕はこれからのセーリングに期待を膨らませながら、自転車のペダルを踏む。

 

いい気分だ。セールをあげ、海に出ると、視界の届く範囲でセイルボートは僕しかいない。大阪湾を独り占め。新雪のゲレンデでシュプールを描くように、僕のレーザーが白い引き波を立ててプレーニングしていく。

 

なんだ、なんでもっと早く、この平日セーリングを思いつかなかったのだろう。よし、来月も一度は仕事を休んで、海に出るんだ。

 

翌朝。ハイクアウトでの心地よい疲労と一緒に、満員電車に揺られて職場に向かう。僕の机の上には、前日に積み上げられた書類の山と、「TELください」と書かれた電話メモの雨あられ。トホホ。神様は、自分勝手に休んだ不良サラリーマンには、ちゃんと罰を用意しておられるのですね。来月は、もう少し軽い罰でお願いします。 

 

 

 

 

 

 

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