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アラフォー帆走生活(KAZI連載)

 

レスボート 

 January, 2014

 text by Koji Ida

 

一月の琵琶湖。

前年度に引き続き、スナイプ級の全日本選手権を観戦しました。今月の発売号で掲載されているはずですが、本誌向けの大会レポートを書くための取材なのです。そして今回、僕はココロに誓っていたことがあるのです。それは、「写真を撮る」。

 

一年前、同じ大会を取材したとき。僕はちゃんとしたカメラを持っておらず、海上で何十枚も撮影した写真は、全部ボツ・・・。

 

だから、今回はリベンジなのです。昨年の失敗のあと、ナケナシのお小遣いを使い果たし、デジタル一眼レフを購入しました。カシャカシャカシャっと、快適なシャッターの連射音。望遠レンズに取り換えて、ぐぅぃーん、ぐぅぃーん。おお、遠くのものが、こんなに大きく撮れちゃうのですね。ガッハッハ。やっぱり道具なのだ。ザクとは違うのだよ、ザクとは。カメラもヨットレースも、腕に自信が無い者は、まずは道具で勝たなくては。

 

よし、これで今回の取材はバッチリだ。でも、そのことを編集長に伝えると、「写真はカメラの性能ではありませんよ。ここだけの話ですが、うちの次回号の表紙は、一眼レフでもグレードが一番下の、ママが子供を撮るための機材ですよ」と説教されました。へぇー、そうなんですか。えっと、そのママ用カメラは、なんていうモデルですか? へぇー、そうなんですか。それって、僕がナケナシのお小遣いで購入したのと同じカメラですね。きっと、世間一般のママさんのほうが、僕よりお金持ちなことに気付きました。

 

そんな前段は置いといて、さあ、プレスボートに乗り込んで、レース海面へレッツゴー。…と思ったら、「イダ、今回は運営スタッフが少ないから、お前はプレスボートの運転手を兼任ね」。えっ、そうなんですか。まあ、いいっすよ。運転しながらでも写真くらい撮れるでしょうし。じゃあ、プロカメラマンの皆さん、乗ってください、出発しますよー。

 

しかしながら、沖に出ても風が無くって、レースがなかなか始まりません。その間、同乗したカメラマンさんたちとオシャベリで盛り上がります。それにしても、プロの人たちの話は面白い。撮影のことを考えて、太陽光の方向とか、背景に何を入れるかとか。あと、ヨットレースが行われる日本の海で、背景が美しく映る場所と、そうでない場所、などなど。すべての話題が楽しくて、とっても勉強になるのです。よし、いま聞いたアドバイスを活かして、僕もいい写真を撮るのだ。

 

そんな決意のあと、やっと風が吹いてきました。僕もバッグからカメラを取り出して、シャッターをバシバシ押しまくります。下手な鉄砲、まずは数を打つのです。そしたら、「もっとボートをスタートラインに近づけてくれる?」「上マークでスターボのレイラインより、ちょっと風上で位置をキープしてよ」「足元が安定するバウデッキで撮影するから、プレスボートの角度を維持してくださいね」と、ずっと指示が飛んでくるのです。運転手の僕は、ハンドルとクラッチレバーから手を離すことができません。このままでは自分で写真が撮れない。どうしよう。

 

でも、重いテレビカメラや、長い望遠レンズを構えたプロカメラマンの姿は、まさしく凄腕スナイパー。風とヨットの最高の瞬間を、光で射抜く狙撃手なのですね。超かっこいい。というわけで、プロの仕事に見惚れちゃったので、運転手に専念することにしました。レースは明日もあるし、今日は皆さんにバンバン撮ってもらいましょう。僕は明日に頑張りますから。

 

そして迎えた、翌日の大会最終日。朝からベタベタ無風で、ノーレース。編集長様、ごめんなさい。今回も、写真はこれだけしか撮れませんでした。ですがせめて、せめて一枚だけでもご採用を。

 

 

 

 

 

 

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