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アラフォー帆走生活(KAZI連載)
『 スピーク・イングリッシュ 』 April, 2014 text by Koji Ida
海外の名門チームに移籍が決まった日本人サッカー選手。その記者会見の場で披露される流暢な英会話。地元の外国人記者から出される質問に対して、スマートに受け答えしている。おお、カッコいいじゃないか。テレビのスポーツニュースを観て、日本中の誰もが感心したでしょう。
でも昔から体育会系と言えばオバカの代名詞ではなかったか。僕のようなスポーツ推薦で進学した人間は、「キミ、勉強は出来ないんだよね」という周囲からの視線をビシバシと感じたものだ。ええ、そのとおり。英単語を覚える暇があるのなら、少しでも(授業中でも)睡眠をとり、その日の練習に備えるのだ。僕の学生時代は、スポーツ選手=勉強しない、それが世間一般の常識だった。
ところが時代は変わった。メジャー競技のトップアスリートは日本国内ではなく、海外のチームに所属し、その国のリーグでプレーするようになった。競泳やフィギアスケートの選手は、トレーニング環境を求めて海外で暮らしている。そのためには必然的に英語もしくはその国の公用語を習得しなければならない。この10〜20年の間で、スポーツ界は国際化のウェーブにどんぶらこっこと包まれたのだ。
そんな状況がアスリートの評価にも変化を与えている。文頭のような外国語での記者会見で、立派に自己表現ができるかどうか。もしその会見に成功すれば、「とっても知的なアスリート」として人気はウナギ登り。テレビCMのオファーが殺到し、本を出せば部数もそれなりに売れて印税ガッポリ。本業の競技の成績がイマイチでも、引退後の生活は安泰なのですな。
僕も若い頃に海外のレースを何度か経験した。当然、自分ひとりで海を渡る勇気はないので、日本チームの数人でグループをつくり、飛行機や宿舎を一緒にする。空港やホテルのロビーなど、英会話が必要な場面では「誰か代表して喋ってよ」と、必ず集団の最後尾に雲隠れ。僕は典型的な日本人。英語に臆病なのです。外国人に話しかけられたときに、僕が答えられる唯一の英会話は、「アイキャン・ノット・スピーク・イングリッシュ、ソーリィ」。
これじゃあ、海外のレースで勝てるわけがない。僕だけでなく、日本のセーリング競技は、このスポーツ国際化の流れに少し遅れ気味ではないだろうか。
というわけで、これからのジャパニーズ・セーラーには、帆走技術だけでなく、英会話力も身に付けて欲しい。ジュニア層を指導する人たちは、そういった意識を持って子供たちに接していただけないか。いま世界のヨットレースの話題の中心は、アメリカズ・カップだったり、ボルボ・オーシャン世界一周レースだったり。いつの日か、そんなステージで戦う日本人選手を観てみたい。レース前の記者会見で、ジェームズ・スピットヒルやディーン・バーカーと並んで座り、英語で意気込みを話す日本人スキッパー。その場面を想像するだけで、とってもクールだろう。
それに東京でオリンピックを開催するなら、競技運営についても英語が必須になる。セーリング競技の関係者諸君、キャンユー・スピーク・イングリッシュ? みんなで、お・も・て・な・し・をするのなら、今から英語を勉強しようじゃないか。 ■
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