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アラフォー帆走生活(KAZI連載)

 

『 怪我の代償 

 October,2015

 text by Koji Ida

 

 

 

月のタモリカップ福岡大会に出場し(先月号を参照ください)、九州のヨットレース・ライフに味を占めた僕。次は8月の長崎ハウステンボスカップに参加できることになりました。

 

ウッシッシ。

初体験のゲレンデも楽しみですが、なんてったって、ご当地グルメが目当てなのです。大村湾や東シナ海の海の幸をほお張り、ぐびっとビールで流し込む。いやいや、やっぱり長崎の郷土料理には壱岐のむぎ焼酎が合うのかしらん。最後の締めは五島うどんで決まりじゃわい。オッホッホ。

 

そんな妄想を頭の中で繰り広げ、レースが来る日を指折り数える僕なのです。レース海面の風や潮流のことなど、これっぽっちも調べるつもりはありません。

 

ところが、そんなに楽しみにしていたレースの5日前のこと。ピッキーン、アイタタタタタ。とつぜん腰に激痛が走りました。痛くて痛くて、立つことも寝返りすることもできません。

 

じつは僕、ヘルニアを持っていて、年に1〜2回はこんなことがあるのです。今回も、少し冷房で腰を冷やしすぎたのがいけなかったみたい。二十歳台からの持病なのですが、いつも突然なので本当に困ります。とっても痛いしね。

 

兎にも角にも、こんな状態なのでハウステンボスカップは諦めました。チームの皆さんに迷惑を掛けてはいけないので、早めにキャンセルの連絡を入れてお詫びします。せっかくの長崎グルメも泣く泣く断念。ちくしょー。寝たきり生活の自分が情けなくって仕方が無い。

 

 

 

いまから十年以上も前ですが、ぼくがディンギーでの競技活動をしているときも、大事なレース直前にこの腰痛が発生し、何度も泣かされた経験があります。辛い思いをするのが自分だけならいいのですが、その本番のために、一緒に努力や犠牲を払ってきたパートナーまで、シーズンを棒に振ることになるのです。これほど申し訳ないことはありません。いま競技レースを中心に活動している若いセーラーたちには、そんなことも念頭において、日頃の体調管理に努めていただきたい。まあ、僕が偉そうに言える立場ではないのだけれど。

 

しかしながら、ヨットレースに怪我や故障は付きものだ。過酷な自然環境のもとで行うスポーツだし、どんな艇種だって、ヨットに乗る姿勢が健康に良いとは思えない。それに勝ち負けを競うのだから、結果を出そうとすれば身体にも無理を強いるだろう。筋力トレーニングやストレッチなど、怪我をしないための予防対策が一番大切なことに変わりはないが、この歳になれば、怪我との付き合い方や、自分の体調にあわせたセーリングのスタイルっていうものを考えたほうがいいのかもしれない。

 

・・・えっと、なんだか弱気ですね。アラフォーを通り過ぎると自分に甘くなってしまうのでしょうか。いかん、いかん。人間いくつになったって、バリバリ動ける身体がいいに決まってる。とくに海の上なんて何が起こるか分からないのだから、万全な体調でないと沖へ出てはいけないのだ。よっしゃ。とっとと腰痛を治して、弱くなった自分のカラダと性根をビシバシと鍛えなおすのだ。

 

半寝たきり生活のベッドの中で、そんなどうでもいい自問自答を繰り返す。なにも出来ないので、長崎の旅行ガイドブックを隅から隅まで読みつくす。ちくしょー、旨そうなものばかりじゃないか。来年のハウステンボスカップでは、長崎のご当地グルメをひとつ残らず食べ尽くしてやるぞ。

 

リベンジに燃える食欲が、僕の回復を早めてくれる。■

 

 

 

  

 

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