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アラフォー帆走生活(KAZI連載)
『 五輪でセーリングを観たいか? 』 November,2015 text by Koji Ida
少し前のこと。 小学生になる娘が地域のドッジボール大会に出場するというので、それを観戦に行きました。
気持ちよく晴れた日曜日。わが子を応援する父兄たちの掛け声で、体育館は熱気にあふれています。クラスで一番の運動神経を持っていそうな男子生徒がチームの中心となって、ボールを投げて、よけて、がっちりキャッチする。その一挙手一投足に会場全体が反応して声をあげる。
すごいな、ドッジボールって。
小学生の試合でこんなに盛り上がるのだから、これが高校総体やインカレの種目だったら、どうなるのだろう。ましてや、オリンピックで開催されたら大変なことだ。とんでもない身体能力を持つアスリートたちが、母国の威信をかけてボールを投げあうのですよ。きっと国民たちは熱狂して、テレビに釘付けとなるに違いない。想像するだけで興奮しちゃう僕なのです。
そう思うと、いまの五輪には観てもツマラナイ競技がたくさんありますね。そんなのはとっととオリンピックから追い出して、ドッジボールに席を譲るべきなのだ。えっと、でしたらどの競技を外しましょうか。五輪の中で一番面白くない競技はどれですか?
僕は「セーリング競技」を思い浮かべてしまいました。 一番じゃないとしても、最下位のほうに限りなく近いはず。巷でアンケートをとってみたら、オリンピック種目であることすら知られていないかもしれない。歴史を調べてみると、セーリングは1896年のアテネ大会から正式種目だったんですって。へぇー、もう120年もオリンピックに参加しながら、ずっとマイナー競技なのですね。もうこれ以上続けても無駄だろうから、本当に他の競技に席を譲ったほうがいいのかもしれない。
先日、2020年の東京オリンピックで追加開催する候補競技が決定しました。野球や空手やサーフィンでしたっけ。残念なことに、ボーリングやスカッシュは落選したそうです。立候補された競技団体の皆さんは、「自分たちは五輪に相応しい」という自負があったに違いありません。そんな彼らに「なぜあのツマラナイ競技がオリンピックに居座っているんだ?」と責められないよう、僕らのセーリング競技はまだまだ努力しなければいけない。いまは艇種団体が五輪枠の椅子取りゲームをしているだけにしか見えないし、テレビ映りを意識した派手なボートを採用するしか策がない。そんなの観ているほうは数分で飽きてしまうぞ。なぜロンドン五輪の一回でマッチレースをやめてしまったのか。チームレースも含め、勝負の視点が違うレース形式も試みて欲しい。そんな試行錯誤の努力が続けられないのなら、やっぱり他の競技に席を譲ってしまえ。
えっと、また愚痴ってしまいました、ごめんなさい。 でもね、それほどドッジボール観戦は面白かったのですよ。子供がボールを投げてぶつけるだけなのに。 ヨットレースで一般大衆の興味を引こうと思ったら、アメリカズカップのように何十億円も掛けて巨大カタマランを飛ばさないといけないのだ。それは仕方のない流れかもしれないが、ヨットが大きくなって高額になるほど、それを観る大衆はセーリングを縁遠く感じるだろう。
大衆がスポーツ観戦で求めるものは何なのか。早くそれに気付かないと、東京オリンピックでも誰もセーリング競技を観に来てくれない。観客をみんなサーフィンに取られてしまうぞ。■
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