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アラフォー帆走生活(KAZI連載)
『 適正体重 』 July,2016 text by Koji Ida
先月号で、震災復興のために「皆で九州のレースへ積極的に参加し、アフターレースで九州地産の食材&酒を大いに消費しようではないか」と提案いたしました。発言した手前というのがありますので、この一ヶ月間、とりあえずヨットレースとは関係なしに、九州グルメを積極的に摂取した僕なのです。
仕事で長崎へ行けばランチにちゃんぽん麺を平らげ、大分では名物とり天の美味さに唸る。熊本で土産に買った辛子レンコンの刺激に涙ぐみ、宮崎駅で鶏南蛮の駅弁をほおばる。佐賀は三瀬の地鶏と蕎麦が最高でした。鹿児島の夜にキビナゴの素焼きを焼酎湯割で流し込む。博多では焼き鳥屋をハシゴして鳥皮と豚バラを交互に楽しみ、〆の長浜ラーメンは替え玉プリーズ。がっはっは。茹で加減はバリカタでお願いします。
えっと、こんな生活をくりかえし、いとも簡単に体重が4kg増えてしまいました。やはり暴飲暴食はいけませんな。ディンギーに乗ろうとウェットスーツを着ようとしても、お腹でファスナーが止まって閉まりません。慌ててジョギングを始めたら、膝が痛くてギブアップ。急に増量した自重に関節が悲鳴を上げているのです。仕方がないので、しばらくはウォーキング&ヨガでゆっくり体重を落としましょう。
スミマセン、余談が長引きました。 こんなふうに現在は自分の体重に無頓着な僕なのですが、むかし、スナイプ級でレース活動しているときは違ったのです。ボートスピードを引き出すための適正なペア体重は130〜140kgでしたので、僕とパートナーは68kg前後のウェイトをそれぞれ維持しておりました。そのシーズンに目標とするレースを設定し、そこで強風が予想されるのであれば70kgまで体重を増やし、逆に微〜軽風がターゲットであれば65kgまで絞る。スナイプ級に限らず、ディンギー種目は体重のコントロールが重要ですから、選手たちは目標体重を決めて、日々のトレーニングと食事のケアが欠かせません。
キールボートのレースでも同じです。 たとえばJ/24ではクラスルールでクルーの合計体重が400kg以下に規定されていますが、ルールマックスが有利なので、5人で乗れば平均80kg以下、6人乗りなら平均66.7kg以下のギリギリのところで、クルー全員が体重をコントロールしなければいけません。でも、チームにひとりでも痩せられないオデブが居たら、そいつの分まで他のメンバーが体重を落とさないといけないのです。そんな押し付けられた減量はとても辛い。あまりの減量苦に、レース前日のインスペクション(体重計測)でヘルスメーターを降りた瞬間に缶ビールをプシュッと開けている人もいましたなぁ。
一般的なスポーツで、体重が競技結果に影響する種目では、ルールで制限体重が決まっていたり、その種目や自身の適正体重があって、それを維持するためのウェイトコントロールでよいのですが、セーリング競技の場合は少し違います。ゲレンデの自然環境にあわせて、痩せたり太ったりしないといけないのです。そう考えるとセーリングアスリートは、役作りのために体型まで変えようとする、プロ根性の映画俳優に似ています。
ちなみにいまの僕は現役時代から10kg以上も体重が増えました。その日の仕事を頑張った自分に、ビール&美味しい食事で毎晩ご褒美しているからですな。
しかしながら、これは肥満ではありません。 社会という、強い向かい風の中を生き抜くための、適正体重なのです。■
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