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アラフォー帆走生活(KAZI連載)

 

『 散歩ついでにAC観戦(中編) 

 February,2017

 text by Koji Ida

 

 

 

月号からの続きです。

ヨットを知らない日本のギャラリーの目には、世界最高峰といわれるヨットレースがどのように映るのか。

それを見届けようと、僕は海上へも出ず、特設ビーチ会場のチケットも購入しませんでした。

けっして、チケットが高額だからとケチった訳ではありません。

 

 

レース初日の土曜日。

僕が観戦ポイントに選んだのは、自宅から徒歩3分の最寄ビーチ。

特設会場から西に2kmほどの距離ですが、レース海面の全体を見渡せますし、この日は西風なので上マークも近そうです。

ビーチを囲う防波堤には、いつもの釣り客以外に、レース観戦を目的としたギャラリーがびっしり。

幾人ものカメラ自慢のおじさんたちが、三脚に望遠レンズを構えて並んでいます。

 

予定どおり、13時過ぎに第一レースがスタート。

でも、誰もヨットレースを知らないので、いつスタートして、いつゴールしたのか分からない様子。

仕方がないので、2レース目は僕が声を出してスタート時刻をカウントダウンしてあげました。

それでもやっぱり、レースの進捗や見どころはまったく理解できず、みんな複雑な表情で海を眺めております。

ちょっとここでは距離が遠すぎましたね。

目を凝らすとフォイリングしているようにも見えますが、ふーん、飛んでるのかもしれないねぇ、といった程度です。

 

 

僕自身の感想も、正直なところ、ディンギーの全日本インカレを観ているのとあまり違いなし。

むむむ、これはどう表現したら良いものか。

そんな微妙な雰囲気で3レース目が終わると、少し予習をしてきたらしい初老のおじさんが

「3レース目は中止になったばい。ニュージーランドが途中トラブルで棄権しとーしね。」

と、自信満々に博多弁で説明していました。

えっ、うそ?ほんとに?

そうは見えなかったのですが、ひょっとして素人なのは僕のほうかもしれない。

あわてて自宅に戻り、ダイジェスト放送で確認します。

なんだよ、誰も棄権してないし、中止にもなってないじゃないか。

恐るべし、にわかアメリカズカップ・ファン。

 

 

 

2日目の日曜日。

もう少し近いところで観ようと思い、自転車で特設会場の西となりにある百道浜へ。

すると、ビーチに繋がる遊歩道には、カップルや家族連れがゾロゾロと、僕と同じ方向へ歩いていきます。

もしかして、みんなアメリカズカップを観に行くのだろうか?

 

百道浜に到着すると、まるで野外フェスでもやっているような人だかり。

ところ狭しと人の群れがビーチ(無料ゾーン)を埋め尽くしています。

うひょー。

前日のフォイリングシーンが地元のニュース番組で流れた影響でしょう。こんなにギャラリーを集めるヨットレースを見たことがありません。

普通に観戦するだけでなく、砂浜にレジャーシートを広げて、お弁当をつついている家族連れもいます。

いいなあ。庶民がヨットレースを眺めながら、週末を楽しむ風景。理想ですね。日頃の僕らのヨットレースも、こんなふうにならないかしらん。

 

 

レースがスタートすると、となりで観ているお父さんが、小学生くらいの我が息子に、熱っぽく解説をはじめました。

「いいぞ!いまニッポンは3位だ!」

あのね、お父さん。

それは左から3番目に見えるだけで、3位ではありませんよ。

「なんだ、ニッポン!コースを間違えてるぞ!逆方向へ走るんじゃなーい!」

いえいえ、お父さん。

それはジャイブして逆サイドに向かっているのであって、コースを間違えたわけではないのです。

 

やはり、一般市民にヨットレースを楽しく観てもらうには、いろんな課題がありますね。

またも文字数があふれ出したので、お話はさらに来月号へ続きます。■

 

  

 

 

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