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アラフォー帆走生活(KAZI連載)
『 散歩ついでにAC観戦(後編) 』 March,2017 text by Koji Ida
僕のAC観戦日記の三回目、最終回です。 先月号で、やっぱり一般市民にヨットレースを面白く観てもらうには、いろんな課題がありますね、という感想を述べました。 僕自身はそれなりに楽しかったのですが、観戦に連れて行った娘たちは、すぐに飽きてビーチで砂遊びをはじめた次第です。
アメリカズカップを肉眼でひとめ見ようと集まってくれた人々は、一体どのように感じたのだろう。 そう思って、僕はレース後にビーチから離れていくギャラリーたちの表情を観察しましたが、残念ながら、感動や興奮のようなものは見て取れません。
もしかしたら有料の特設会場では様子が違ったのではないかと思い、たまたまヨットを知らない職場の同僚がチケットを購入していたので、恐る恐る感想を聞いてみました。 すると、 「とにかくステージの段取りが悪かったね」 「ルールやコースに関する事前情報が少なすぎて、海のほうを観ていても全然分からないよ」 「ずっと(CGが入って分かりやすい)大型ビジョンを観てたから、わざわざチケットを買わなくても、家でテレビを観れば十分だったな」 と、率直に話してくれました。 すべてのギャラリーが同じではないかもしれませんが、代表的な感想なのだと思います。
でも、TVニュースやダイジェスト放送の映像を観た知人たちからは、 「すごい迫力だったね、ヨットってすごいんだね!」 というコメントをたくさん聞きました。 やはり、フォイリング・カタマランという方向性は、ヨットレースを面白く見せるための、ひとつの正解なのでしょう。 アメリカズカップは、こういった大衆の反応を受け止めながら、ボートだけでなく、イベントとしても進化させて欲しいと願います。
それにしても、あれほど大勢のギャラリーが集まってくれたのだから、僕たち自身がこの機会を活かして、もっとセーリング競技をアピールすることができたのではないか、と深く反省しております。 アメリカズカップの歴史やルールを解説した観戦ガイドを自作して、それに地元ジュニアヨットスクールや高校ヨット部の紹介も入れて、無料の砂浜ゾーンでギャラリーたちに配布したら良かったんじゃないか。 ディンギーやセーリングカヌーをビーチに持ち込んで、体験試乗会を開催したら面白かったんじゃないか。
ああ、後悔サキニタタズ。
ですから、もう一度チャンスをください。 ヨットを知らない日本の皆さんに、このスポーツの魅力をもっともっと伝えたい。 そのために、ぜひともソフトバンクチームジャパンにはバミューダの本戦でカップを奪取していただき、日本に持ち帰って欲しいのです。
一般市民の目から見れば賛否両論のある福岡大会だったかもしれませんが、とても価値ある賛否両論です。 いままではセーリングを論じる機会なんて、これっぽっちも無かったのですから。 すべてはソフトバンクチームジャパンが参戦してくれたからですし、日本開催のために準備や運営で尽力された皆さんのお陰です。 本当にありがとうございました。
この経験を今後に活かすことができれば、本当の意味で歴史的な出来事になるでしょう。 アメリカズカップだけでなく、日頃の自分たちのヨットレースを盛り上げるためにも、今回感じたことを大切にしなければいけません。
最後に、今大会でのささやかな成果をひとつ紹介します。 うちの奥さんは、これまで僕が何度も間違いを指摘しても、 「アメリカ ン ズカップ」と繰り返してきましたが、頻繁に流れたテレビCMのお陰で、やっと正しく「アメリカズカップ」と呼んでくれるようになりました。 うれしくて、感無量なのです。■
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