Fullhike style of J-Snipe

index  cover sailors file race report column about this page

 

[column]  鷸が跳ぶ

 

014 国体のすごし方

 

text by Koji Ida

 

 

る日の週末「どうしても一緒に行って欲しいのよ」という妻の申し出を受け、市役所に足を運んだ。目的は、2006年に開催される、兵庫のじぎく国体のボランティア説明会。筆者の住む西宮市では、セーリング、新体操、ボクシングが開催される予定であり、その御手伝いの為、ボランティアが募集されている。市報のチラシに、その宣伝を目にした妻が、興味を持ったという訳である。

 

スナイプ乗りの筆者にとっては、国体というイベントからは、かなり縁遠くなってしまった。というか、国体には高校の時にFJでしか出場したことがないので、かれこれ15年くらいは、国体会場に足を踏み入れていない。

 

国民体育大会で、成年男子スナイプ級が最後に行われたのは、1997年の大阪国体になる。もう8年も前の話しである。当時の筆者は「97年の国体を最後に、日本のスナイプ界は終ってしまう」と真剣に心配していた。だから、それまでに結果を残さないと、これまでのスナイプの活動が意味を無くしてしまう、と真剣に悩んだ。同じように感じていた選手も、多かったのではないだろうか。

 

そんな焦りが動機になって、猛練習に取り組んだ。その結果、96年の全日本スナイプで優勝することができたのだが、皮肉にも、この優勝で出場権を勝ち取った世界選手権の日程が、97年の最後の国体と重なっていたのである。結局、国体にはスナイプで出場することはなく、現在に到っている。

 

 

体に関与しない、ということは、都道府県のセーリング連盟とも関与する必要がない、ということになってしまう。逆の立場から見れば、都道府県のセーリング連盟は、スナイプ級で活動する選手に関与する必要がない、ということである。以前、スナイプが国体種目であった頃は、地元のセーリング連盟から援助してもらう選手が多くいたし、援助してもらう為に、練習に励んでいた。しかしながら現在は、各都道府県セーリング連盟がスナイプ選手を援助する理由はない。

 

援助が途絶えれば、選手たちの競技継続が困難になるのは当然のこと。スナイプ協会の登録艇数や会員数も、国体から外されたことを境に、激減するのはやむを得ない。しかしながら、97年当時に筆者が心配したほど、スナイプ界の状況が悪くなったとは思えない。筆者のようなサラリーマンセーラーとしては、国体と全日本、と2つも目指す大会があるのは日程的にも厳しかった。しかしながら現在は、全日本一本に的が絞れるので、年間のスケジュールが組みやすい。それに、国体がなくなったことにより、全日本選手権の価値は上がり、逆に盛り上がっているのかな、とさえ感じさせる。

 

国民体育大会の第一の目的は、スポーツの普及である。スナイプは、国体によって十分に普及してもらった。いまはその役割を終えて、国体は他の艇種普及へ、そしてスナイプは、次のステップへ移行している、と前向きに思いたい。

 

 

んなことを考えながら、市役所の会議室で、ボランティアについての説明を聞いていた。説明会に来ている人たちには、ヨット経験者は居そうにない。セーリング連盟の人たちも、国体準備に尽力されると思うが、多くの場合、セーリング経験者の中だけでの国体準備になっていないだろうか。本当の意味での国体の目的「スポーツの普及」ということを考えれば、実は、興味を持ってボランティアに来てくれた、セーリング経験のない人たちの輪に入って、セーリング経験を伝えていくことが必要なのではないか、と優等生的な発想が湧いてくる。

 

市の体育協会の人であろう世話役の人が、「では何か質問はありませんか?」と説明の最後を締めくくろうとする。すると「国体で交通渋滞は出ないのか?」「ボランティアというが、駐車場代くらいは支給されるでしょ?」などなど、結構いろんな質問が飛び交ってくる。対応する世話役の人たちもタジタジである。そんな中「あの〜、僕はセーリング競技をやっているんですが・・・・・・」と筆者が切り出すと、参加者の視線が集中する。世話役の人たちも、いままでの苦情処理のような話題を変えてくれて、助かった〜といった表情。ボランティアを募るのも、楽ではなさそうだ。

 

国体から遠ざかっているとはいえ、筆者もセーリング界の端くれにはいるので、来年の本番で会場に来る選手や監督さん達には、知っている方も多くいるだろう。そんな人たちを迎える筆者は、計測を手伝っている訳でもなく、レース運営をしている訳でもない。近所のオバちゃん達と一緒に、汁を配っている。「ヨットの人たちって、色黒やね〜」とオバちゃん達と談笑しながら、汁を配っている。そんな風景を思い浮かべるだけで、笑いが込み上げてくる。結構バカ受けじゃないだろうか。来年が楽しみで仕方がない。

 

でも、どうしよう。筆者の担当会場が、セーリングではなくて、男子新体操だったら・・・・・・。■

 

 

 

マスコットの“はばタン”

 

 

 

 

index  cover sailors file race report column about this page

style of J-Snipe Fullhike