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race report 002

 

text by Koji Ida

photographs by Miki Ida

 

生が、トップレベルの選手達と同じレースに出る機会を与えようという主旨で始まったこの大会も、今回で22回目を数える。主催者側の意思はそのまま受け継がれているが、参加者の思惑はその時代と共に変化している。開催当初は、トップ選手が学生に胸を貸してあげる程度の気持ちで参加していたであろう。しかしながら現在では、そのシーズンの国内開幕レースとして位置づけられ、その年にライバルとして誰をマークすべきかを見極める最初の機会でもある。地方に分散している有力選手が、一つに集って技術を競い合う場は、そう多くはない。また、ビックフリートでの経験を積む為にも、数少ないチャンスである。シーズンの導入として参加するもの、今後の競技人生を懸けて挑むもの、純粋にタイトルを欲するもの、結果以外の課題を持って参加するもの。いろいろな思惑を抱いて、雪解け水の注ぎ込む琵琶の湖上で、スナイプセーラーは目覚め始める。

 

月27〜28日の2日間、同志社ウィークが開催された。スナイプは81艇が集り、近年にはないビックフリートが形成された。今回の招待選手は、森田・藤田(本田技研熊本)。クルーがなかなか固定されなかった森田選手であるが、福岡大学の後輩である藤田選手が同じ会社への入社を決めたことにより、やっと地に足のついた活動ができる体制が整った。ボートも昨年にピアソン新艇を購入し、冬期もセールテストに多くの時間を割いている。昨年の全日本スナイプでは、不慣れな新艇による予知不能のトラブルにより優勝を逃がしたが、今年は言い訳のできない最高の状況でシーズンを迎えようとしている。

同じ本田技研熊本の高村・丸山も、昨年は休息期間を取ったが、今年はこの同志社ウィークからエンジン全開で活動を再開する。他にも、松崎・石崎(豊田自動織機)、杉山・渡辺(静岡ガス)、安部・山近(シルトロニック・ジャパン、旧ワッカーNSCE)、と例年以上に有力選手が多く集結した。その殆どが今年の全日本スナイプ、言い換えれば蒲郡ワールド予選を視野に入れて、この大会に参加している。

 

レースは、両日とも高気圧が張り出した影響で、軽風下でのコンディションとなった。同志社ウィーク特有の長いスタートラインと短いコース、そして大多数のものに微笑みかけない琵琶湖の気まぐれなシフト。スタートのポジション、最初のコースサイドを間違えば、殆ど挽回は不可能という困難な状況。そんな中で、初日の2レースで圧倒的な力を示したのが、地元で活動する吉岡・西口(柳ヶ崎セーリングクラブ)。アグレッシブなスタートと琵琶湖を知り尽くしたコース展開により、この日を2−1位とダントツの成績で折り返す。もう誰も止めれそうにない雰囲気も漂ったが、琵琶湖の風は、地元の者にも裏切ることを忘れない。二日目の第3レース、優勝を意識し過ぎたのか、吉岡・西口が22位と大ブレーキ。このレースで2位に入った安部・山近が一気に逆転、トップを取った高村・丸山も次のレースに望みを繋ぐ。森田・藤田、杉山・渡辺も含めて、超混戦の優勝争いとなる。

そして迎えた最終レース。最初のスタートからブラックフラッグが掲揚されるが、艇団は早い時間帯からラインを押し上げる。筆者が勝手に呼ぶ『想い出づくり現象』である。このゼネラルリコールで、ここまでトップの安部・山近が まさかの失格。続く2回目のスタートも、艇団の半分がスタート時間を1分間違えるという荒れたレースになったが、7位で乗り切った高村・丸山が優勝、以降は杉山・渡辺、吉岡・西口、森田・藤田が僅差で続く結果となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

安定した成績で優勝を納めた高村(左)/丸山(右)ペア

 

 

 

初日をダントツの成績で折り返し、

好調ぶりを見せた吉岡選手

 

 

 

年最初の本大会、多くのトップ選手が昨年までとは大幅にハードを変えて、テスト的な意味合いで参加している。これまでの冬の期間、ボートを変えたり、セールテストを繰り返したりと、更なるステップアップを図ろうとしている。それにより、スコア上では良くなかった選手達も、何かしらの手応えと課題を得て、次のステップへと進んでいく。

だが、結果的には昨年までと同じハードを使用している選手の活躍が目立つ形となった。スナイプのレースで勝つ為の要素は、ハードの優劣や新旧だけではない。道具の進化と共に、選手達自身も進化していかなくてはならない。そんな初歩的なことを、琵琶湖の気まぐれな風が教えてくれたような気がする。■

(文中敬称略) 

 

Doshisha Week 2004

1st

高村/丸山

(本田技研熊本)

29

2nd

杉山/渡辺

(静岡ガス)

33

3rd

吉岡/西口

(柳ヶ崎セーリングクラブ)

34

4th

森田/藤田

(本田技研熊本)

35

5th

増田/増田

(トヨタ自動車)

44

6th

豊田/山内

(京都産業大学)

60

7th

笹井/伊藤

(アイシン・エーアイ)

60

8th

兵藤/道下

(柳ヶ崎セーリングクラブ)

68

9th

杉浦/新美

(豊田自動織機)

68

10th

尾崎/橋内

(同志社大学)

75

81boats 4races

 

 

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