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race report 003

 

text & photographs by Koji Ida

 

2004年のシーズン、主要な大会の殆どが蒲郡で開催される。来年スナイプワールドの開催予定地でもあるこの海では、年間を通じて多くのスナイプレースが行われており、実業団のトップ選手が多く活動している。海面、風、選手層、設備。訪れてみると、そこがスナイプの中心地であることが一目で分かる。

 

 

 

 

 

 

郡市海陽ヨットハーバー。平成5年にオープンし、翌年には愛知県開催の「わかしゃち国体」のヨット競技会場となった。蒲郡といえば、ニッポンチャレンジのベースキャンプであり、毎年冬にはナショナルチームの選考レースも開催される場所である。いわば、日本のセーリング界が“ベスト”を求める為に選んだ海面。今シーズンは、全日本選手権、全日本学生選手権、全日本実業団選手権と、スナイプ級の主要な大会の殆どが、この地で開催される。連日夏日の合間に来た4月末の冷え込んだ週末に、そんな蒲郡で開催された“春季三河湾選手権”というレースに参加した。

 

蒲郡では、実業団ヨット部のスナイプ選手が多数活動している。トヨタ自動車、豊田自動織機、アイシン精機、アイシン・エーアイ等々、実業団選手権だけでなく、全日本選手権で活躍する選手や日本代表経験者が多く所属する、実業団の中でもトップチームと呼ばれるクラブである。他水域には一部見られる“お遊びのヨット部”とは全く違う。結果を常に求められ、最新のハードを揃え、そのセッティングに徹底的な拘りを持ち、勝つ為の確率を少しでも高めるべく、完璧を目指す。蒲郡の特色である北西からの強風下で、セールカーブの細部を確認しながら、自らのハンドリングに磨きをかける。F1チームのような合理性を持ちながら、いまどきの学生よりも、体育会的な熱いチーム達の集合体。それが筆者の感じる蒲郡である。

会前日の土曜日に移動し、お昼前にはハーバーに到着。今回は、豊田自動織機さんとアイシン・エーアイさんにお世話になり、非常に新しい艇をチャーターさせて頂く。土曜日は朝から北西バンバンの強風で、陸上でジブを上げるのも危険を感じるようなコンディション。どう見ても15m/s以上は吹いている。こんな日に海に出て、親から貰った大事な命を無駄にするような奴は居ない。午後の時間をどうして潰そうかと考える。しかしながら、横にいる蒲郡の選手達は、海に出ようかどうかを考えている。考えているだけなら未だ分かるのだが、考えた末に出艇する選手がいる。おそるべし蒲郡。

土曜の夜は、豊田自動織機チームの皆とノースセールの白石選手と合流し、親睦会兼意見交換会。場所は、地元で“魚が旨い”と言われる『美里』という居酒屋さん。決して綺麗とは言えないが、味の有る店造りの奥の座敷で、店のおねーさんが「ここでしか食べれないから!」と勧めてくれた“目光”という名の深海魚の造りに舌鼓を打ちながら、スナイプについて語り合う。テーマは『センターが“ブ〜ン”と鳴るのは、速いのか?』。トップ選手が集い、レベルの高い技術論が日々繰り返されているだろう蒲郡でも、筆者が仲間に入ってしまうと、この辺が精一杯である。結局、速いという者、遅いという者、賛否両論に別れて自身の思う根拠をまくしたてるが、皆が納得できる結論には辿りつかなかった。新鮮な魚介類とは縁遠い、琵琶湖から来た人間にとっては、アルミ板から発生する振動音の影響よりも、深海魚の造りを味わえたことの方が余程の収穫である。

 

翌日のレース本番。前日の強風も吹き止み、ホッと心を撫で下ろして出艇する。風向は北西ながら、出艇時の風速は4〜5m/sくらい。この風向でこんなに風が弱いのは筆者にとっては初めての経験だった。しかしながら、時間が経過すると共に徐々に風速が増してくる。知らない間にフルハイクになり、メインシートを逃がしている。また、もう一つの蒲郡の特長。ローカルレースでも、コースは長い。チャーター艇のオーナーは自虐性なのか、メインシートが非常に細く、ぐんぐん指に食い込んで、痛くてたまらない(スタート直前に、メンカムを外してしまった筆者にも責任あり)。予定の3レースが終了した頃には、身体も気持ちもボロボロである。最終レースを2位でフィニッシュし、やっとのことで陸上に逃げ帰る。でも、同じレースに参加した艇の半分くらいしか帰ってこない。レース終了後も練習しているのである。おそるべし蒲郡。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブーンは速いのか?」

 

にも述べたが、今年のスナイプ主要レースは、殆どこの地で開催される。他水域から来る選手は気を付けた方がいい。生半可な気持ちでは、ここの海にも、ここの選手達にも、立ち向かうことは出来ない。多くのドラマが此処で繰り広げられるはずであるが、最後に笑える選手は限られている。今回参加した“春季三河湾選手権”は、言ってしまえば草レースかもしれない。だが、恐ろしくレベルの高い草レースである。本番の前に「日本一レベルの高い草レース」に参加してみるのも、決して無駄な経験ではない。■

 

 

Mikawa Bay Spring Regatta  25-Apr-2004

 

1st

井田/山崎

島津製作所

9

2nd

岩瀬/高木

アイシン精機

14

3rd

白石/鈴木

ノースセール

14

4th

笹井/加藤

アイシン・エーアイ

16

5th

阿部/鈴木

トヨタ自動車

17

6th

松崎/石崎

豊田自動織機

20

7th

内山/古川

トヨタ自動車

27

8th

杉浦/新美

豊田自動織機

27

9th

皿澤/伊藤

アイシン・エーアイ

28

10th

中村/福田

アイシン精機

28

19boats3races

 

 

 

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