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race report 008

 

 

チャーター方式最後の全日本インカレ。ハードの差を奪い取られた選手達は、この海面では予想外の微風〜順風シリーズで、最後まで予測のつかない混戦を繰り広げた。

 

text  by Koji Ida

 photographs by Koji Ida

/Gusty Photo Service

 

 

 

 

日本学生ヨット選手権大会。水域の予選を通過した各クラス23チーム、全国から31校の大学ヨット部が蒲郡の海に集結した。このイベントは、毎年行われているにも係わらず、“4年間の集大成”とか“一生に一度”のような、もっとスパンの長いイメージを周囲に与える。4回生達の、そこに達するまでの犠牲の大きさが、観る者に自然と そう感じさせるのだろう。

 

今年は 一応の区切りとして、チャーター方式最後の大会。チャーター艇を準備する大会運営側もそうであるが、各チームもこの方式に慣れてきた感がある。レース前日のチャーター艇受け取り日、不快な小雨の降る中にも係わらず、テキパキと整備作業が進んでいく。その裏には、海陽ヨットハーバーの榊原氏やオクムラボートのスタッフなど、高速回転で修理をこなしてくれた協力者の存在があった。そんな人達の御陰もあって、例年よりはチャーター艇に関するクレームの少ない大会になったのではないだろうか。

 

回のチャーター方式は、スナイプ3艇の内、1艇はポールランチャーではなく、「ウィスカー」の使用を義務づけられた。海陽ヨットハーバー所有の25千番台のボートを、各チーム1艇の割合でチャーターに含めた為、このような処置が取られたのである。選手自身は不満であっただろうが、学生時代はウィスカーだった筆者以上の年代にとっては、なかなか良いものを見せてもらった、という想いである。

 

蒲郡でのインカレということで、誰もが強風シリーズを予測し、その準備をしてきたはずである。しかしながら、大会前半は風待ちを繰り返す微風シリーズ。後半は、いつもの風とまでは行かなかったが、なんとか回数をこなせる順風域でのレースとなった。

 

大会前、筆者は過去の実績や9月の個人戦の結果からして、実力的に福岡大学が抜け出ると予測していた。しかしながら、序盤こそ福大ペースで進むかと思われたが、最終日を迎えた時点で、日本大学がトップに立ち、中央、福岡、同志社、京産大、早稲田、法政、鹿屋体育大の8位までが、1位と100点差以内にひしめき合う大混戦となる。

 

大会4日目の最終日。同志社、日大、福大の三校は、総合優勝も睨みながらのレースとなる。この日の1レース目で、同志社がクラストップに躍り出る。しかしながら、次のレースでは中央が逆転。最終となった3レース目で、中央がこの差を守り切り、スナイプクラスでの優勝旗を手にした。中央大学にとって、全日本インカレでの優勝旗獲得は、昭和28年以来の快挙。総合では、470級で2位、このクラスでも3位に入った同志社が8年ぶりの優勝を勝ち取った。

 

予想外の軽〜順風域でのシリーズとなり、25千番台のチャーター艇もあったということで、上位校も非常にハイスコアなレース展開となった。チャーター艇制度においては、割り当てられた3艇の格差が大きい為に、『誰が、どれに乗るか』という作戦も生じてくる。これは、やってみなければ分からない、というところもあるが、その戦略がフィットするかしないかで、スコアに影響を与えたことは事実であろう。

 

今大会、個人成績で際立ったのは、原田選手(早稲田)と出道選手(同志社)という、長崎出身の一回生スキッパーふたり。チャーター艇の程度にバラツキがあったので、一概に実力順のスコアとは言えないかもしれない。しかしながら、彼等が今後、学生スナイプ界の中心に成長していくことは間違いない。来年から自艇参加のインカレで、どういったスコアを刻んでくれるか楽しみである。

 

 

 

 

 

 

 

かしながら、団体戦としては、個人的に目立った成績は残せていないが、平均的に3艇が大崩れしなかった中央大学がクラス優勝を勝ち取った。カットレースの無いインカレでは、“如何に崩さないか”が一番のポイントになる。僅差での勝利であるが、橋本主将を中心に、まさしく“団体戦の勝ち方”を実践した結果と思う。

 

総合優勝の同志社大学は、高校以前にヨットを経験している部員が、両クラス合わせて3名だけという状況で、今回の結果を勝ち取った。数少ない経験者が全員結果を出したことも要因ではあるが、尾崎主将をはじめとする、大学からヨットを始めた選手達の頑張りが大きい。

 

残念なのは、最終日レース終了後の抗議の多さである。相手を失格にしてでも勝つ、という勝負への執着心は否定しないが、なんでも有りという訳でもない。着順で届かない点数分だけ、あとから逆算して抗議を出しているようにも見えた。その抗議には、選手の意志ではなく、OB達からの強制的な指示もあったかもしれない。母校の名誉の為と思った行動が、実は母校の後輩達を追詰め、傷付けているかもしれない、ということを認識して欲しい。

『もう、インカレ嫌いです』

抗議審問の待ち合い場所で、ある伝統校の選手が、筆者へすれ違いざまに漏らした。学生達に、この競技の良さを伝えたいと思う筆者としては、絶対に聞きたくない、絶対に思って欲しくない言葉である。次回大会以降、同じことが繰り返されないよう、心よりお願いする。お願いするしか、方法が思い浮かばない。

 

今回でチャーター制度は一応の最後となる。この制度が導入される前と導入された後で、上位校の顔ぶれに特別な変化は見られなかった。艇の差ではなく、技術の差。このチャーター制度により理解できたことを、選手や指導者が今後に活かせなければ、何の意味も残らない。来年からは、自艇参加でのインカレに戻る。強いチームが、チャーター艇に戸惑って、自滅するようなことはない。弱者につけ入る隙のない、本当の実力勝負が待っている。

 

全日本インカレ最終日。この日に勝利を勝ち取る為に、多くの学生が青春の大部分を犠牲にする。「青春」という言葉を使うこと自体、今の学生には古いと指摘されるのかもしれない。しかしながら、敢えて繰り返して、この言葉を使いたい。彼等が犠牲にしてきた青春の時間、その全てが、この一日に凝縮される。その払った犠牲が大きい程、この一日が長く、重く、濃密な時を刻んでいく。そしていつの日か、この日の為に払った犠牲全てが、青春そのものであったことに気付くであろう。■

 

 

All Japan Intercollegiate 2004

31 October3 November  2004

Total

1st

同志社大学

1193

2nd

日本大学

1308.9

3rd

福岡大学

1335

4th

法政大学

1447

5th

明治大学

1509

6th

京都産業大学

1510

 

Snipe class (23teams 69boats 9races)

1st

中央大学

569

2nd

福岡大学

600

3rd

同志社大学

609

4th

法政大学

629

5th

京都産業大学

637

6th

日本大学

642

 

470 class (23teams 69boats 10races)

1st

第一経済大学

578

2nd

同志社大学

584

3rd

日本大学

666.9

4th

福岡大学

735

5th

明治大学

773

6th

立命館大学

809

 

 

 

 

 

 

 

 

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