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race report 009

 

 

 

 

上位9チームに与えられる来年ワールドの出場資格。代表の行方に焦点があたると思われた今年の全日本選手権。予想通りの激戦を極めた中、福岡勢が上位を独占し、加原・上田ペアが圧勝で二連覇を達成した。

 

 

 

text by Koji Ida

photographs by Gusty Photo Service

 

005年7月、スナイプ世界選手権が愛知県蒲郡市で開催される。登録艇数の比率により、日本からの出場枠は8つ。更にホスト国枠プラス1、ホストフリート枠プラス1、合計10チームが世界選手権に出場できる。今年の全日本選手権は、ホストフリート枠を除いた9つの席を争う「椅子取りゲーム」となった。

 

筆者達ペアは、哀しくも琵琶湖予選で敗退している為、全日本の会場へは足を運んでいない。その週末は、敗戦のショックを癒す目的で、相棒家族と一緒に和歌浦温泉へ一泊旅行。したがって、今回のレースレポートは、参加選手達から聞いた断片的な報告と、成績表だけから来る独断的な感想をもとに、第三者からの超客観的な考察を試み、完全なる結果論を述べてみたい。かなりの無理を感じるが、ご勘弁して頂きたい。

 

前述のように、本大会の上位9チームには、来年のスナイプワールドへの出場権が与えられる。このことにより、優勝争いよりも9位争い、誰がワールド出場権を得るか、ということに全ての注目が集まると予測していた。しかしながら、終ってみれば加原・上田ペアの圧勝による連覇、福岡勢の上位独占、という方が強く印象に残る大会となった。

 

 

年の江ノ島大会、台風の影響が入ったガスティーなコンディションで、4−2−4−2位というスコアで優勝を決めた加原・上田ペア(ベネッセセーリングチーム/福岡大学)。前回の結果については、現役学生という若さ、強風オンリーのシリーズ、少ないレース数、という要因により“ラッキーな”という周囲の評価が残ったかもしれない。しかしながら、今回は9レースの長丁場で、最終日2レースを流して優勝を決める余裕の展開。来年ワールドに向けて、日本代表筆頭として、一番の期待が掛かる。

 

最後まで優勝を争ったのは、同じ福岡大学出身の吉岡・古川ペア(七洋会)。吉岡選手は、2001年ウルグアイワールドでは、今回優勝の上田選手とペアを組んで、その年 日本選手最高の成績を納めている。それ以降、全日本選手権では結果に恵まれなかったが、その鬱憤を晴らすかの如く快走した。強風域でのレースにまだ課題があると思われるが、加原ペアと合わせて、日本スナイプ界の世代交代を進めてくれそうだ。

 

3位には白石・後藤ペア(ノースセール・ジャパン)。白石選手は98年の全日本優勝後、J24でも全日本制覇、470級でも国体で優勝。アテネへのキャンペーン終了後、スナイプの活動を再開した。コンビを組む後藤選手も、学生時代はインカレで活躍したスナイプスキッパー。石橋選手とのキャンペーン終了後、白石選手とコンビを組み、来年のスナイプワールドと北京オリンピックを目指す。何歳になってもヨット好き、ハイレベルなセーリングアスリートがコンビを組んで、これからのディンギーレースを盛り上げてくれそうだ。

校の後輩達に押しやられたのが、森田・藤田ペア(本田技研熊本)。セッティングに悩み過ぎた感があり、前半にスコアを崩してしまったが、一番の強風域となった大会三日目には、行われた2レースを1−1位と圧倒し、実力を見せつけた。日本代表の中では若手扱いされてきた森田選手も、いつの間にか30歳の大台に乗る。常に好成績を納めている森田選手であるが、筆者が思うに、彼等は未だ長いスランプの中にいる。ワールドまでに、そのスランプから抜け出せるかどうかが鍵となる。

 

5位には、地元蒲郡で活動する松崎・杉浦ペア(豊田自動織機)。松崎選手は02年ロングビーチでの西半球選手権から、国際大会で4年連続の日本代表となる。これまでヘルムスマンとして活動していた杉浦選手と新たにコンビを結成し、更に厚みのあるレース展開が可能になったのではないか。蒲郡で活動するペアとしては、唯一の代表権獲得となり、地元の期待を一身に背負う。

 

九州チャンピオンの瀬戸口・水野ペア(本田技研熊本)が6位。瀬戸口選手は、今年久々にスナイプヘルムスマンとして活動。蒲郡ワールドが、眠った虎を起したようである。7位には唯一の学生ペアとして、原田・鈴木ペア(法政大学)が入賞。前週行われたインカレの疲れも残る中で、今回の結果は賞賛に値する。8位には01年全日本チャンピオンの高村・丸山ペア(本田技研熊本)。本田熊本は3チームが全部ワールド枠を獲得したことにより、来年の本番までは、一番効果的なトレーニングが組めそうである。今年のF1、BARホンダのような快進撃が見られるか。そして9位に滑り込んだのは、杉山・金田ペア(静岡ガス)。10位と2点差で最後の椅子を勝ち取ったが、強風域での安定感は抜群。最年長ペアが大人のレースを見せてくれるだろう。

 

 

 

部水域からは残り1枠をめぐって、来年選考会が開かれる。地元蒲郡で活動しているチームで、ワールド出場枠を獲得したのは松崎・杉浦ペアのみ。厳しい表現をすれば、ホームウォーターでの全日本でシングルに入れないようでは、世界選手権では通用しない。ホストフリート枠を狙う選手達は、「ワールドに出るだけ」の選手にならない様、気持ちを引き締め直して、再びチャレンジして欲しい。こんな風に書けば、気分を悪くする選手もいるだろう。だが、その怒りを原動力に、ステップアップしてくれることを望む。今回、僅差で代表の座を逃した児玉・石崎ペア(豊田自動織機)や岩瀬・高木ペア(アイシン精機)を始め、皿澤・伊藤ペア(アイシン エーアイ)や全日本に出場していない笹井・加藤ペア(アイシン エーアイ)など、十分な実力を持った選手たちが、最後の椅子獲りゲームに火花を散らすことになる。

 

今回、ワールド出場枠を獲得した選手達は、これから本番までに更なるトレーニングを重ねていくだろう。ゆっくりとした世代交代を見せ始めた日本スナイプ。新旧入り交じった代表チームは、どこまでレベルアップしていけるのか。今のままでは勝てない。筆者も含めた落選組の選手達も、代表強化の為に、今後のレースでプレッシャーを掛けていかなくてはならない。

 

来年の全日本スナイプ開催地は、福岡の小戸に決定した。今回、福岡大学出身のスキッパーが、6つのワールド出場枠を勝ち取った。そんな彼等の本拠地で、加原・上田ペアが三連覇を達成するのか。福岡勢がまたも上位を独占するのか。蒲郡で証明された力の差。来年は、その差を埋める者の出現を期待する。■

(文中敬称略)

 

All Japan Snipe Championships 2004

11-14 November  2004

Total

1st

加原/上田

 ベネッセST/福岡大学

 36.5

2nd

吉岡/古川

 七洋会

 43

3rd

白石/後藤

 NORTH SAILS JAPAN

 54

4th

森田/藤田

 ホンダ熊本

 54.5

5th

松崎/杉浦

 豊田自動織機

 64.5

6th

瀬戸口/水野

 ホンダ熊本

 75

7th

原田/鈴木

 法政大学

 75

8th

高村/丸山

 ホンダ熊本

 76.75

9th

杉山/金田

 静岡ガス

 77

10th

児玉/石崎

 豊田自動織機

 79

 65boats/9races(2cut)

 

 

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