Fullhike style of J-snipe

 index  cover sailors file race report column about this page

 

race report 010

 

 

 

 昨年の全日本スナイプの結果により、蒲郡ワールドへの出場チームがほぼ決定した。これにより、今シーズンに向けての方向性は、選手毎に大きく違ってくる。フリートの大半を占める学生達も、今年から自艇参加へのインカレに変る為、例年とは違うアプローチが求められる。それぞれの想いが全国から集まり、琵琶の湖面に映し出された。

 

text & photographs by Koji Ida

 

 

 

 

 

ャパンワールドのシーズンがやってきた。昨年の全日本スナイプで、出場権利を獲得した代表選手たち。ワールド最後の椅子である、中部水域のホストフリート枠を狙う選手たち。ワールド出場枠から漏れたが、再出発を誓う選手たち。江ノ島インカレでの栄光を目指し、寒い冬場の練習を耐え抜いた学生選手たち。全国から集まった75チームのスナイプ乗りたちは、例年以上にそれぞれの思惑が異なっている。

 

ずは、日本代表として蒲郡ワールドに出場するグループ。松崎・杉浦ペア(豊田自動織機)と白石・後藤ペア(ノースセール・ジャパン)が一騎打ちの優勝争いを展開する。結果的には松崎ペアが初優勝を達成したが、白石ペアとの差は1点と、非常に接戦であった。昨年からスナイプにも導入された、ノースセールのラジアルカットでの開発が更に進んでおり、この2艇の特出したスコアの要因にもなっていると思われる。筆者の私見からすると、昨年よりもシェイプにゆとりが出て来ており、よりオールラウンドな風域での対応が可能になっているようだ。蒲郡本番までには、もう少し開発が進められると思うが、ワールドに向けての完成モデル登場が楽しみである。

 

昨年、全日本スナイプ準優勝ヘルムスマンの吉岡選手(七洋会)と、優勝クルーの上田選手(小川労務管理事務所)がコンビを組み、招待選手として出場した。昨年、加原・上田ペアが乗って全日本を勝ち取ったボート(オクムラ)を、今年は吉岡選手がチャーターしてワールドに挑む。その調整の意味合いもあっての参加であったが、上田選手の花粉症の影響もあり、実力からは少し悪いスコアとなってしまった。吉岡選手は、今年から和歌山のシエスタに加入し、J/24やマッチレースにも活動の場を広げる。セーリングに対する幅広い視野と感覚を身につけて、ワールドタイトルに挑戦して欲しい。

 

昨年、ギリギリで出場枠を獲得した杉山選手(静岡ガス)も、女性クルーの渡辺選手と出場し、要所を押さえて6位入賞。内容と結果、ともに本人には不満が残ると思うが、その対処法も熟知するベテランである。今回の日本代表の中では、現在最年長選手でもあり、その豊富な経験と知識とユーモアで、日本チームを引っ張ってもらいたい。

 

白石選手(ノースセール・ジャパン)と、講習会でアテネオリンピックの報告をしてくれた佐竹選手。

 

 

今年からシエスタで活動を広げる吉岡選手。

 

花粉症に悩まされたが、招待選手として最後までレースに集中してくれた上田選手。

 

 

 

クルーランクトップに立った後藤選手(ノースセール・ジャパン)と、470での活動を開始した佐藤選手。

 

最終枠争いの注目候補、田中選手(右から二番目)と児玉選手(右から三番目)。今後の選考レースの経過から目が離せない。

 

追う立場の笹井選手(手前)と武居選手(奥)。代表枠獲得には、もうワンランク上への成長が必要だ。

 

3位の内田選手(左)と橋本選手(右)。ヨット好きたちは、いつまでもスナイプを盛り上げてくれそうだ。

 

 

シーズン、ある意味いちばん盛り上がるのは、スナイプワールド本番よりも、その前に決まるホストフリート枠争いではないだろうか。この争いに手を挙げている選手たちが、今回の同志社ウィークにすべて出場している。その中で、第一の候補と思われるのが、児玉・田中ペア(豊田自動織機)である。昨年の全日本スナイプでも、ぎりぎりの10位で落選となってしまったが、現在決まっている9チームの内、一つでも辞退するペアが出てくれば、自動的に出場資格を得ることが出来る。しかしながら、いまのところは自力でのクオリファイを目指さなければならない。470オリンピックキャンペーンも経験しているベテランペアが、今年からコンビを組み直し、本気でスナイプワールドを狙っている。そんな児玉ペアも入り交じる最終枠争いは、非常に高いレベルで競われることは間違いない。

 

児玉・田中ペアを追う立場で、いちばん勢いがあるのが、笹井ペアと武居ペアのアイシン・エーアイ新体制。まだ粗削りではあるが、この同志社ウィークでも、両ペアが1レースづつトップフィニッシュを決めており、爆発力を秘めている。選考レースでの集中力を維持できれば、十分に最終枠獲得を狙える力を持っている。その他にも、岩瀬ペア(アイシン精機)などの実績ある選手たちも控えている為、この最終枠争いが、今年の前半、一番の注目ポイントとなる。

 

最終的には結果論がモノをいうが、筆者はこの最終枠を獲得したペアが、本番でも好成績を納めるだろうと予測する。2001年に開催された西宮でのJ/24世界選手権の際も、前年の全日本選手権で出場枠を得たチームより、本番直前に行われた最終予選を勝ち上がったチームの方が、本大会での成績は良かった。ヨットレースで勝つには、準備期間が長ければいいというものではない。直前までの切磋琢磨と、爆発的な勢いがある方が、時には良い成績を生み出すこともある。中部水域で争われている最終枠争いは、単なるホストフリートの“役得枠”ではなく、本大会優勝候補を決める場になっているのかもしれない。

 

 

惜しくも蒲郡ワールドの出場枠を逃した選手達も、この同志社ウィークから活動を開始している。連続代表出場が途切れた内田選手は、昨年の全日本インカレでクラス優勝を果たした橋本選手(中央大学)との急造ペアで出場し、3位に入賞している。同じく安部・山近ペア(シルトロニック・ジャパン)も、安定したスコアで5位入賞。いつまでもスナイプ好きな選手達は、常に新しい目標を持ち、例年以上にやる気を見せて、シーズンをスタートしている。

 

 

学生最高位は、19位に入った西村選手(同志社)。学生といっても、この大会の時点で彼は未だ高校三年生。厳しい表現ではあるが、西村選手がスゴイという訳ではなく、他の大学生選手が不甲斐ない。西村選手でも、平均スコアが24位である。学生達は、もう少し粘り強いレース展開を見せて欲しい。全日本インカレ上位校は、これから夏場に掛けての期間が、最も技術力が向上していく時期なので、現時点での未熟さは大きな問題ではない。しかしながら、例年以上に学生と社会人のレベル差を大きく感じたのは、筆者だけではない。最初の土台が低すぎれば、インカレ常勝校といえども、足元をすくわれる危険性が高まる。筆者たちの年代からすれば、自艇参加に「戻る」全日本インカレであるが、学生たちからすれば、「初めて」の自艇参加による全日本インカレである。強化のポイントと優先順位を誤れば、落とし穴が待っているかもしれない。各チームとも、早い段階でのレベルアップを期待する。

 

 

それぞれの思惑を抱いて、それぞれのシーズンが開幕した。同志社ウィークの結果により、白石・後藤ペアと松崎・杉浦ペアがランキングの上位を独占する形となった。しかしながら、今回参加できなかった本田技研熊本チームや福岡大学が加わる5月の西日本ヨットウィークでは、どういった展開を見せるのか。7月には蒲郡ワールド、9月には博多湾で開催される全日本スナイプ、11月には江ノ島での全日本インカレ。なかなか目の離せないシーズンになりそうである。■

(文中敬称略)

Doshisha Week 2005

2627 March 2005

 

1st

松崎/杉浦(豊田自動織機)

13

 

優勝した松崎選手(左)と杉浦選手(右)。着々とワールドへの準備が進んでおり、地元での本番に期待が掛かる。

2nd

白石/後藤(ノースセール・ジャパン)

14

 

3rd

内田/橋本(逗子開成/中央大学)

31

 

4th

児玉/田中(豊田自動織機)

40

 

5th

安部/山近(シルトロニック・ジャパン)

41

 

6th

杉山/渡辺(静岡ガス)

42

 

7th

吉岡/上田(七洋会)

44

 

8th

武居/伊藤(アイシン・エーアイ)

46

 

9th

吉岡/黒岡/大飯田(TOYOBO)

50

 

10th

山下/谷(トヨタ自動車)

55

 

75boats4races

 

 

 

index  cover sailors file race report column about this page

style of J-snipe Fullhike